今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:66,356 hit
小｜中｜大
＊ ページ17
頭に乗った頭蓋骨を外し、液体になったちょこを舐めとると嫌に味がしょっぱい。
視線を下に落としても決まったようにセンラ様の瞳と見つめあうことになる。心臓の鼓動がうるさいのを感じながら、自分はこの鬼にいったい何を覚えてしまったのか。自ら頬を赤らめて煙が出てしまうそうなほどの熱を感じてしまっているのはなぜなのか。自分の知りたくないことを無理に記憶されてきていた。変わらずちょこを凝視しているセンラ様。何もわからずにただ顔を赤くしてセンラ様を見つめる私。
「今日は、”ハロウィン”と呼ばれる日なんです。知ってますか」
「知って、ます」
「どんないたずらをしても許される日なんでしょう？お菓子をくれたら罪が軽くなるとか？らしいですね」
「今日の月は普段より輝いていて。
鬼の子は理由を作って女の子に誘いを持ち掛ける。
＿＿＿＿今日はハロウィンだ。お菓子か、いたずらか。
どちらが軽くなるだろう」
＊
そのために用意したちょこれいとは原型もない無残な姿に溶けていた。どろどろのちょこは私が持った頭蓋骨の中でたぷん、と盛られて、器の役割として使われている。甘い香りが漂う山の中、鬼の子は静かに私のほうへと近づいた。
「ただ、距離感がつかめなかっただけ。と言えればどんなに簡単に幸せな終点が見えるのか。
『トリックオアトリート』
彼がそう呟いた瞬間に、彼から離れられないことを知った」
＊＊＊
「周りから男の子が消えていって、悲しいと思いませんでしたよね」
「お菓子も、僕のことをよぉく考えて選んでくれたんでしょう」
「でも、このチョコ溶けちゃいましたし」
「これじゃあ僕の罪も山分けしないと、やってけませんね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sakako(プロフ) - え、え、好きです…！どタイプです！！素晴らしいお話たちを読ませてくれてありがとうございました！ (2019年11月2日 12時) (
レス) id: d08b40b16f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
