二面性ゴースト【浦/島/坂/田/船】 (ページ11)

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【となりの坂田。】パゼシィヴ・ダーリン／ぱふとぅん。ページ11

何かがおかしいと思っていた。だけど信じたくなかったのだ。街中がいつもより騒がしくて、色んな妖怪が溢れているからそのせいだと思っていたかった。

だけど、信じざるを得なくなった。

このおかしいという気持ちは間違いではなかったこと。

そして＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「あっは、人間様み～っけ」

今、私の目の前で不敵に笑う彼のことを。

**

「A、早く行こ！」

「わ、わかってるよぅ…」

私の手を引いてぐんぐん進む彼女は人間ではなく化け猫…の仮装をしている。かく言う私は全身を黒で身を包んだ魔法使いだ。彼女みたいにガッツリ露出が出来るスタイルを持ち合わせていないし、何より私はこのイベントにあまり乗り気ではない。なぜなら私は少しだけ霊感があるのだ。

これを人様の前で話せばあっという間に笑われ者。それを知っていたからこそ隠しているわけだけど、年に1回あるこの＂ハロウィン＂というイベント、なんせ人間は大好きらしい。生きてて数十年経つが、このイベントを欠席できたことがない。毎年ホラー体験をしている人並みの鳥肌を立たせながら泣く泣くこのイベントに参加している。

なぜ欠席できないのかというと、私が住んでいるこの地域はハロウィンにとても力を入れていて、どの家へ訪れても『Trick or Treat!!』と言えば必ずお菓子が貰える。子供たちからすれば数週間のお菓子代が浮くとても貴重なイベント。まぁ逃すわけがなく、みんなニコニコ顔で参加しているわけだ。

18歳以下で仮装をしていれば誰でもお菓子が貰える。それがこの地域の＂ハロウィン＂なのだ。