想いを聞く者《壱》

・・・・・・・ ページ13

Aside

敦くんの身体は、元の人の形を保っていなかった

月光に照らされて、真の姿が表に出てくる


それを見ながら太宰さんは話を続けている



太宰「大方、施設の人は虎の正体を知っていたが、君には教えなかったのだろう

君だけが解っていなかったのだよ」




すると敦くんの身体はいよいよ完全に変貌した


白銀の毛並みに黒の模様

月のような金の瞳に鋭い動向を映す


一頭の巨大な―――――――虎の姿




太宰「君も「異能の者」だ。現身に飢獣を降ろす月下の能力者――――」




―――――あぁでも、野生みを帯びた目には敵意が浮かび

月光に照らされながら佇み敵を屠らんとするその様は


どこか神秘的にも見えてくるね



虎は大きな雄叫びをあげると、太宰向かって襲いかかった



太宰さんはそれを避けたけれど、虎は再び襲い掛かり

力強く振られた前足が木箱を砕いた



太宰「こりゃ凄い力だ。人の首くらい簡単に圧し折れる」



なんて云いながら、全く焦ってない

流石元ポートマフィア幹部だ




その後も虎の猛攻が続き、太宰さんは壁に追いやられた


否――――そうなるよう誘導した




虎は太宰さんを見据えると、地を蹴り飛びかかった


ふむ……そうだね。少しばかり助力させて貰おうか






―――――――ｷﾞﾝｯ！




虎「ﾋﾞｸｯ))」ｸﾞﾗｯ




異能力【深淵を聞く者】――――「畏怖」


憎い者や、命の危機と対峙した時

生き物は生存本能から敵に「敵意」「殺意」「怒気」を向ける


そしてそれらを向けられた者や「敵意」の押し負けた者は「畏怖」を抱く



「畏怖」とは敵を恐れる事であり、戦意を喪失してしまうことでもある



この力を使えば、威圧感を持って相手に「畏怖」を抱かせ

戦意喪失や無力化を行えるんだ




それにより、虎は一瞬「畏怖」を抱いて身体を震わせ瞳から殺意を失くし、体制を崩した



太宰「(！今のは………いや、今はそれよりも)…君では私を殺せない」



その隙に太宰さんが虎に触れると文字列が現れ光り

敦君の姿を、人の身へと戻した




太宰「私の能力は――――あらゆる他の能力を触れただけで無効化する」



気を失っている敦くんを受け止めた太宰さんだけど…




太宰「男と抱き合う趣味はない」ぱっ←



と言って敦くんを落とした←

やれやれ全く……これから自分が面倒見るっていうのに何してるのやら

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