【東京喰種】 scent 【ウタ】

12 貴方side ページ15

急に決まったことで頭が追い付いていない、そんな状況だった

いや、正確には現在進行形で今も混乱しているような感覚だ



隣にいるウタさんは相変わらずサングラスをかけているが、何か考え事をしているのか微細だが表情に変化がみられる



すると、突然ウタさんがこっちを向いたので慌てて前を向いた



ウ「..名前、何ていうの？」




....！


貴「.....えっと..

　 A..です..!」






...しまった


急に話しかけられて驚いたのだが、こんな反応しかできなかったことが申し訳ない



そんなことを思っているのは私だけらしく、もう一度ウタさんの口が開かれた




ウ「...A


　 綺麗だね」







.....、


驚いた



貴「...え..」




全く予想していない言葉だったので、またしても曖昧な返事になってしまった


でも今度は、驚いただけじゃなく






戸惑った




綺麗、なんて自分には縁のない言葉だと思っていたからだ





そんな風にしばらく黙り込んでしまっていると





ウ「．．．僕のとこ、いやなら芳村さんに．．」





...!!!?


そんなつもりではなかったのだ


貴「...い!いや..そういうわけじゃ...!!」




ウタさんも困った様な顔をしている






貴「....そ、その..




　 ..嬉しくて＿＿＿」






あ


.....。





嬉しかったのは本当だが

まさか口から出してしまうとは思わなかった


それに
口からでる、言葉にする、ということがこんなにも恥ずかしいことだとは思わなかった




...穴があったら入りたい、とてつもなくそんな気分だ








ウ「.....よかった」


...っ


よかった....？







ウ「..そんなにも僕のことが嫌なのかと思った」

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