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「というか…そうか。今日から君も任務なのか」
『そうですね』
「…ふっ、いや、なんでもないんだ…っくく」
夏油はいじらしく口角を上げながら私に近づいてきた。
『…目の前に立たれると邪魔なんですが』
「その冷めた態度が崩れるの、面白そうだな」
『あのー聞いてます?』
夏油は私の発言なんて聞こうともしないため会話が成り立たない。
ただの日々のストレスの掃き溜めだとでも思われているのだろうか。
いっその事術式を使ってしまおうか。
そんな邪険な思いが滲み出るのをぐっと押さえ込んだ。
「君は自分が強いと思っているのかい?」
『そうだと言ったら?』
「それなら君のためを思って言おう。
弱者は死ぬだけだから転職サイトでも見てここから出ていった方がいいよ」
こんな生徒を見て高専の教育理念を疑うのは致し方ないと思う。
『…前髪変な癖に』
「は?今何か言ったか?」
『何も言ってないですよー』
いや、こいつの前髪いじりはかなり楽しい。
夜中にでも部屋に侵入してその前髪を切ってやろうかな。
「醜い争いなら外でやれー」
「!…やぁ、おはよう家入」
『…おはようございます』
「ん、おはよう」
笑顔で睨み合っていた私達の間に家入硝子がタバコを吸いながら割り込んでくる。
「っおい、至近距離でタバコはやめてくれないか」
「うるせぇ慣れろ」
タバコを慣れろだなんて無茶なことを言うなぁ。
家入のおかげと言うべきか夏油の私への興味は失せたらしくくだらない話をしている。
私はちらりと壁にかけられた時計を見た。
10:00
そろそろいい具合だな。
私は教室の扉に手をかけた。
「…っおっと、黙って逃げようなんてズルいじゃないか」
思わず舌打ちしそうになる。
『…てっきりもう興味が失せたのかと』
「君の初任務を見届けないなんてなんてありえないだろう?」
君の
まぁいいさ。
彼だけでは絶対に私に追いつけないから。
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作者名:塩田 | 作成日時:2022年11月28日 23時