政務官殿の憂鬱【マギ】

Ｎｏ．9 ページ10

*マスルール





『…A？』



目を覚ますとそこにはAの姿はなかった
立ち上がると見覚えのない花冠が頭から落ち
甘い香りを漂わせていた

日は傾きオレンジ色の空が俺を見下ろしている




『っ、A！！！』



嫌な予感がする
こんな時間にAが戻ってこないなんてことは今まで一度もなかった

考えられるとすれば二つ



俺が寝ている間に攫われた
または遭難した




とにかく俺は花冠と同じ香りのする方へと走り出した

少しすると遠くの方に灯が見えた


荷車を引く馬、松明を掲げる人々
そして檻に入れられた人々




(………ﾄﾞﾚｲか)




耳を澄ませて商人らしき奴らの声を聞いていた
すると一人、何かを担いで集団と合流した





紛れもなくAだった

見たところ外傷は見当たらない
ただ意識がなく、ぐったりとしている





『金剛鎧甲(バララーク・カウーザ)』




集団の中へ飛び込み檻を破壊
そして即座にAを奪還した




「なっ！？なんだ貴様ァ！！」


『…こいつは、返してもらう。』


「あぁ！そいつは金になるというのに！！」




その一言に柄にもなくムカついた
その場の地面を思い切り殴り睨みつけると
そいつは腰を抜かせていた

面倒事はもう嫌だった俺は
Aを抱きかかえてその場を後にした





*

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