検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:6,470 hit

No.5 ページ6

*





夕食と湯浴みを済ませ
自室に篭もり文書と睨めっこをしていると

ふとノックの音が静かな部屋に鳴り響いた




『誰ですか?』


「Aです。
入ってもよろしいでしょうか?」




こんな時間にどうしたんだろうか
扉を開けるとそこには髪を結っていないAが立っていた

ふわりと髪から女性らしい香りがする
先程まで湯浴みをしていたのだろうか

そんな甘い香りを漂わせて男の部屋に1人で来てしまうなんて



(他の人にはしてほしくないなぁ)




『とりあえず、中へどうぞ。』


「はい、失礼します。」









『すみません。散らかっていますが…』


「いえ、こちらこそ…お忙しいのにこんな時間に押しかけてしまってごめんなさい。
実は昼間できなかった相談をしたくて。」




文書を適当に片付けたソファに腰掛けて
彼女は続けた




「薬の材料が底をつきそうなのでまた現地調達へ行きたいのです。
それで護衛の件での相談なのですが…」


『あぁ、それならばまた私が付いて行きますよ。』




そう、Aはこの王宮の医務官
たまに街に降りて出張診療所もやっている

薬の材料はAが保管、調合しているのだが
無くなりそうになると自分で現地へ赴き
自分の目で材料の質を見定めてくる

けれども彼女は自分の身は自分で守れない
だから普段は私が護衛として付いて行くことになっている


はずだった




「いえ、その…今回は護衛をマスルールさんにお願いしたくて…」


『ま、マスルールに?それはいったいなぜ…?』




今までいつだって私だったのに
どうして急に私ではなくマスルールを?

焦りと不安が私を支配した

調達の時だけAを独り占めできたから
遠くへ行って色んなものを見て

その役割がマスルールになる
いや、他の誰だったとしても嫌だ

理由を問うと




「いつもジャーファルさん忙しそうですし、今回は結構長いことここを離れると思うので…。
ジャーファルさんをそんな長いこと連れ回すなんてこと私にはできません。」


『…そう、ですか。』




彼女は優しくて仕事熱心でとても魅力的だが





『わかりました。気をつけていってらっしゃい。』


「はい、ありがとうございます。」




今はその魅力がとてもつらい






*

No.6→←No.4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
13人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぴょん子(プロフ) - 紫陽花さん» そう言ってもらえると嬉しいです!更新頑張りますね! (2017年9月26日 7時) (レス) id: 319f5d20b4 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - めっちゃ面白くて好きです!更新楽しみです頑張ってください!! (2017年9月26日 6時) (レス) id: 248dd46236 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん子(プロフ) - 声優2次元大好き!さん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年9月12日 20時) (レス) id: 319f5d20b4 (このIDを非表示/違反報告)
声優2次元大好き! - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年9月12日 15時) (レス) id: 51b90ece6b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぴょん子 | 作成日時:2017年9月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。