政務官殿の憂鬱【マギ】

Ｎｏ．15 ページ16

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王宮に着くとまずはAの部屋に向かった

キィ、と扉を開けて
起きてしまわないよう慎重にベッドへAを下ろす

こうして改めて見ると本当に整った顔立ちをしていることに気がつく
髪は細く柔らかく、ふっくらとした唇に長めのまつ毛と色白な肌

自分の気持ちに気がついたのはAと出会って半年程経った頃だった
ピスティやヤムライハに言われてやっと気がついた

一度好きだと自覚してしまうと歯止めが効かなくなるのは困ったものだ

無意識に目でAを追ってしまうし
Aへ連想してしまうこともおおくなったし
Aが他の異性と話したりしていると
どうしようもない気持ちになったりする

ベッドに腰を下ろし
再び心地良さそうに眠っているAに目をやった
帰っている途中起きているかと思ったが
どうやら気のせいだったみたいだ

前髪を指で軽く救うと
Aはくすぐったそうに顔を歪めた



『…いつになったら言えるんでしょうかね。』



無意識に出た言葉は驚く程に小さく、弱々しいものだった

そんな私を余所にのうのうと眠るA
鼻を摘むと小さく呻き声を漏らした



今は私のことを意識してくれてなくたっていい
けれどもいつか





(いつか必ずこちらを振り向かせてみせますから)





眠るAの頭を撫でて私は部屋を後にした






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