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N-8 ページ8
「おー久々だねー。」
リビングをキョロキョロとしながら言った。
「で、なに？用件言ったらさっさと帰れ。」
こんな雨の中、傘を差してわざわざ
会いに来てくれたのだろうか。
「これ、休んでた分のプリント届けに来た。」
あいつから自分に会いに来てくれた
訳ではないらしい。
期待した自分が恥ずかしくなった。
「…はいはい、どーも。」
「…。」
プリントを渡したきり、黙った。
雨の音だけが沈黙の中に入る。
「黙ってないではよう帰れ。」
本当は帰ってほしくない。
ずっといてほしい。
「帰んない。」
思わず声が出そうになって必死で堪えた。
「は？」
心と口は別人のように、
真逆の言葉を浴びせる。
「ニノが休んでる理由聞いたら帰る。」
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作者名：麦ご飯 | 作成日時：2014年6月17日 20時
