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赤井秀一 * 再開 ページ44

土曜日の昼下がり。

人気のない住宅街をAは歩いていた。

『あれも買ったし...』

ブツブツとメモを見ながら角を曲がると

ドンッ

『っ!』

大柄の男とぶつかり尻餅をついてしまった。

いたた...とAが顔を上げた時、目に映ったのは

「てめェ!どこみてやがる!」

刃先の尖った銀色のナイフだった...

それと同時に遠くからパトカーのサイレンが
聞こえる。

オマケに男の脇には大きなボストンバッグ...

銀行強引...とAは直感した。

「チッ...おい女!痛い目にあいたくなかったら
人質になってもらおうか!!」

立て、と首筋に刃を立てられ従わざるをえなくなり
Aは冷や汗を流して立ち上がった。

せめて拳銃を持ってれば...

くっ...とAが唇を噛みしめた時だった。


トンッ


銀行強盗の肩に手が置かれた。

二人が振り返ると、

そこには黒い帽子に頬に火傷のあとがある男が
立っていた。

「なんだてめぇ...ぶっ!!」

強盗がギロッと男を睨むと同時にその頬に
尋常じゃない強さの打撃が入った。

一発で吹き飛ぶ銀行強盗...

Aは目をまん丸に見開いた。

今の...今のは...

「おい!いたぞ!」

「捕まえろ!逮捕だ!」

ハッと振り返ると のびた銀行強盗を警官が
囲んでいた。

「お怪我はありませんか!?」

地面に落ちていたナイフを見て警官がAに
駆け寄って聞いた。

『だ、大丈夫です』

「まさかあなたがあの強盗を...?」

『いや、通りすがりの男性の方が...』

咄嗟にそう言うと、男性の特徴などを聞かれ
慌ててAは

『怖くて覚えてなくて...ごめんなさい失礼します』

「あ...」

とあの男の跡を追って駆け出した。




『秀!秀一!』

狭い住宅街の道の真ん中で男に向かって叫ぶと、
男はピタッと歩を止めた。

『秀一...だよね?』

その背中にゆっくり歩み寄る。

『秀一...!!』

縋るように名前を呼べば、男はゆっくりと
振り返った。

それはかつてのAの恋人、赤井秀一の姿
だった。

『秀一!今までどこで何してたの...!!』

男の顔を見た瞬間にAは両目から大粒の
涙を流す。

『生きてたなら連絡くらい、よこしてよ...!
ずっと...ずっと待ってたのに...!!』

ドン、とAは男の胸板を拳で叩いた。

そのままその胸板に顔を埋める。

すると

『っ、』

赤井はそっとAの髪を撫でた。

そして両耳下に手を添え、グッと顔を上げAを
ジッと見つめると、ゆっくり顔を近づけた。

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みち - 43ページのジン可愛すぎかよ… (2019年5月1日 4時) (レス) id: 737d5e15b0 (このIDを非表示/違反報告)
レモーン(プロフ) - 音さん» 大丈夫ですよ! (2019年2月26日 3時) (レス) id: df95101de3 (このIDを非表示/違反報告)
- またまた続けてのコメントですみません...。 2回目にしたコメント字が抜けてました...。 私は修学旅行編はアニメで見した。 これ正しくはアニメで見ました。 でした。 すみませんでした...。 (2019年2月18日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
- また続けてのコメントですみません...。 作者さんにお聞きしたいことがあるのですが...。 作者さんとお話したいと思っているのですが...。 ここ以外でお話することって可能ですかね? (2019年2月18日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
- 続けてのコメントですみません...。 私は修学旅行編はアニメで見した。 ここの小説ではこの修学旅行編を書いてる 人って居ないですよね? ここの小説でも読んでみたくて探しては みたのですが...。 いつかここでも読めたら良いですよね?...。 (2019年2月18日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レモーン | 作成日時:2017年9月27日 23時

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