憂き身を窶す【漣ジュン】

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「おはよう、茨君」

「おはようございます!Aさん!イメチェンされたんですね!とてもお似合いです!!雑誌の表紙が飾れるぐらいには素敵です!」

「そう言われると恥ずかしいなあ」

髪はボブのピンクアッシュで、服装も清楚でガーリーな服を着ていたのをストリート系にシフトチェンジ。

あくまで仕事だからそこまで派手色のものを着ている訳では無いけど、突然のイメチェンに朝から色んな人に声をかけられる。

あのぽやっとしてるナギさんからも「Aちゃん、いつもと服装が違うね」とコメントを貰ったぐらい。

茨くん会いに行ったところべた褒めが止まらなくて少しくすぐったかった。

そんな中、朝からEdenメンバーとの仕事が入った。

清涼飲料水のCM撮影で、私も副マネージャー的な感じで同行をお願いされた。

そうなればジュン君とも会うわけで。

「A?めっちゃ雰囲気変わりましたねぇ」

髪の毛を1束手に取り、愛おしそうな目で私を見る。

そんなところを茨くんが間に入って止める。

「はーい!Aさんには触らないでくださーい」

「ちょ、なんすか?」

不満げなジュン君と私の間に入り込み、ひしと手を握って私にも注意

「Aさんもジュンなんかに簡単に触られたらダメですよ?」

「わかったよ」

「...なんなんすか茨。俺がAに近づいたら何か不都合なんすか」

「はい！不都合です！自分Aさんとお付き合いさせていただいてるので！」

「は....？」

今まで聴いたことないジュン君の唸るような低い声。

が、それは茨君に対してだけで、くるっと表情を変えれば私の手を握り込んで困ったように眉を下げた

「A、俺の告白に答えてくれなかったのは茨が好きだからってことなんですか？」

俺の告白？何々どういうこと？

「...ごめん、告白って何？彼女がいるんじゃないの？」

「...あれはAが俺に彼女がいるって知ったらどういう反応するかが気になって嘘ついただけです」

私はその嘘でどれだけ辛い思いをしたんだろう。

ジュン君に散々振り回されて、一喜一憂して。

「なんか話が噛み合わないなって思った。私のことが好きとか言ってくるの冗談だと思ってた」

「俺、本気で好きです。変にこんがらがらせちゃったんすけど、今からじゃ遅いですか？」

「信じられない、酷すぎる...」

泣きたくない。せっかく綺麗にお化粧もしてきてイメチェンして新しい気持ちで来たのに。

そう思っても涙は溢れ出てしまっていた。

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