陽の目にも涙【巴日和】 (ページ12)

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「初めまして、船橋千歳役の花橋Aです」

僕が18歳の頃、突然舞い込んできたドラマ出演で出会ったのがAちゃんだった。

僕とAちゃんがダブル主演の学園恋愛もので、相手が人気急上昇中の女優ということもあってドラマの視聴率は高かった。

もちろん、それは僕が出演したからっていう理由もあるわけだけど

そんなことはどうでも良くて、ドラマで恋人を演じているうちに僕はAちゃんのことを好きになっていった。

けれどライバルは多いもので、成人していてお酒の飲める彼女はドラマの撮影後に俳優に飲みに誘われることがあった

それも特定の俳優じゃなくて、色んな俳優からだ。

どの俳優もAちゃんのことをそういう目で見てて、僕は正直いい気はしてなかったね。

その場に僕がいって邪魔でもできればいいけど、あいにく僕は未成年でその場に同行するのもあまりよろしくなかった。

埋まらないたった2つの歳の差は、僕に彼女に手が届かないってことを思い知らせてきた。

だから僕にしては珍しいぐらいに彼女にアピールして、他の男に取られないように頑張った

「Aちゃん、今度Edenのライブがあるんだけどぜひ来てほしいね!」

「AちゃんAちゃん!美味しいドーナツ屋さんがあってね?」

「Aちゃん!セリフの読み合わせがしたいね!」

なのに、彼女は僕のことを「お友達」なんて言ってきた。

「は?」

思わず声が出た。

こんなにアピールしてるのに、お友達???

もういっその事言ってしまおうと、Aちゃんに恋愛感情を持ってることを伝えれば歳の差のことを引き合いに出されてしまった。

でも、そんな簡単に諦めるつもりもなくて

「じゃあ僕が成人するまで待っててね」

そう言ってから僕の恋愛奮闘期が開始した。

「Aちゃん!今日は僕の行きつけのカフェに行こうね!」

「Aちゃんは可愛いねぇ!」

「わ〜!Aちゃんお嫁さんみたいだね!!」

「スキャンダルなんて僕には関係ないねっ」

強引ではあったけど、Aちゃんは僕のことを好きになってくれたみたいで僕とAちゃんは付き合って、僕が成人してからすぐに結婚した。

やっと手に入れたAちゃんだから、誰にも渡したくないけど、Aちゃんは相も変わらず色んな男の人からアピールをうけてるし...

Aちゃんが僕のことが好きでも、僕は少し不安。

いつもはみんなのおひいさんな僕も彼女の前では涙を流す。