陽の目にも涙【巴日和】 (ページ11)

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そのままジュン君と話していたら、日和君がむくっと起き上がり、私の首に腕をまわす。

「あ、おはよう。お水持ってこようか」

「なんでジュン君と話してるんだね?」

私の言うことを無視して遮るようにそう言う日和君。

顔を見れば、ムッとした表情で今にも"泣きそう"だった。

お酒を飲んだからか涙腺が緩いらしい。

私は今にも涙を零しそうな潤んだ瞳を見て少し焦り「ジュン君が日和君のこと送ってきてくれたからだよ」と頭を撫でれば、怒り出した。

「ジュンなんてどうでもいいでしょ!」

わがままは健在。この口ぶりじゃ、私の前では控えめだけど、ジュン君に対してはフルオープンにそういうところを見せているらしい。

「日和君、ジュン君にたくさん迷惑かけてる」

「ジュン君は僕のいうことに従うのが当たり前だね!」

「違うよ。そうじゃないでしょ」

「Aさん、俺大丈夫っすよ」

ジュン君が気を使ってそう言ってくれるけど、日和君は止まらない。

「そもそもAちゃんは僕のものだよね!?よそ見なんてしないでよ!」

涙は今にも零れそうだった。でも、私はカチンときて

「ジュン君、せっかく日和君のこと送ってくれたのにごめんね。車で家まで送っていくよ」

「いや、おひいさん..」

「なに?」

「なんでもないっす」

ジュン君の前で涙を流すのを我慢する日和君を無視して、日和君の特等席のはずの助手席にジュン君を乗せた。

「ごめんね、いつも迷惑かけて?」

「いやぁ、高校の頃からなんでそこはもう慣れましたよ」

「うーん、慣れたらダメなんだけどねえ」

ジュン君は家に着くと、会釈と感謝の言葉をひとつ落として行った。

家に帰れば、ソファにいた日和君はいなくなっていて、すすり泣く声が寝室から聞こえていた。

「ただいま」

そう言って寝室に顔を出せば、ゆっくり立ち上がった日和君に勢いよく抱きつかれてそのままベッドに倒れ込んだ。

「ごめんなさい。僕Aちゃんがいつ僕のところから離れていくんだろうって不安なんだね」

顔は涙でぐしょぐしょでアイドルらしからぬ大泣きっぷり。

「えーん」と大声で泣くもんだからなんだかおかしくて笑っちゃう。

「ジュン君と一緒に紅茶飲んで、あんなに楽しそうに話すから、僕もっと不安になったんだね。だからAちゃんがジュン君と話してるのが嫌だったんだね」

肩に顔を擦り付けてくる。

「僕Aちゃんに嫌われたら生きていけないね」