曇り ページ15
幾つかの本を持って席に着く。
嗚呼、判った。判っちゃったよ。
内務大臣は私に
「あーもう、この不細工!」
机をどんどんと叩いて顔の肉を摘む。
明日から絶食だ。
今思えば私は『帽子さん』の好みもタイプを知らない。
“お互いに探らない”というのはこんなにも苦難で難解な物なのか、なんて、今更嘆いても遅いし。
兎に角今は雨に願いを掛けるだけ。
でも帽子さんは確実に私が『雨が好きな女』だと勘違いしている。確かに雨は好きだ。だって愉しみがあるからね。でもそうじゃあない。
「そうじゃないんだよもー…」
机をドカドカと蹴る。
埃が落ちて丁度善いだろう。
はあ、と溜息をついて鞄の中から皺の付いた茶封筒を取り出した。
安吾さんが何処からか得た機密の情報。
マフィアの情報は闇社会で売れば飛んだ大金になるだろうに。
善く手に入れたなあ
写真なんて絶対隠し撮りでしょ。笑うわ。
慎重にされた封を破って無造作に手を突っ込んだ。
出てきた資料に目を通す_________筈が
「っうわ、びっくりした」
突如鳴り響いた着信に驚き、資料はひらひらと足元へ落ちた。椅子の下は蜘蛛の巣だらけで暗闇だ。最悪。
……最悪
『____もう!何ですか安吾さん!!!!』
『…今日はやけに上機嫌ですね、……資料は見まし』
『今見ようとしたんです!!!!』
雑にとった携帯に耳を宛てがい糾弾した。
電波は届かない筈だろ!?なのになんだよ!はい?一個だけアンテナ立っててムカつく!
『実は今ポートマフィアの足取りが取れて_____』
『後にしてください!』
ピッ、と終了釦を押して肩の力を抜いた。
また後で会うのだから善いだろうに。そんなに急用なのか?
「……もー、本ッ当タイミングめ、あーあ、届かな…お、よっし取れたー」
手を伸ばせば二枚の資料は手に掴めた。
よかった。
やはり其処にはポートマフィア幹部の詳細が乗っていて、二枚目は異能についてだった。
『重力遣い』の名前は________
「……中原、中也、?」
中が二つ。
「……なんて事はどうでも善いんだよ!!
私は『帽子さん』の事が知りたいの!」
と誰も居ない部屋で叫んでも虚しく、ただ生温い風が頬を撫でるだけだった。
__________本棚の下。
私はその存在に気づく事無く、その場を後にした。
たった一枚の、対象相手の写真である。
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にんじんさん。(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます…! (2019年6月4日 16時) (レス) id: 13fcb4bada (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あなたもしや…、中也推しですか!? (2019年1月7日 0時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 白井なでしこさん» コメントありがとうございます。ありがたい言葉ばかり並んでおりますね笑とにかくありがとうございます!頑張ります! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 月ノ輪さん» ひゃー、お世辞でも嬉しすぎます…。前作もありがとうございます!そのコメントだけで次も頑張れますので期待に応えられるように書いていきますね!コメントありがとうございました!! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - ユーナ橘さん» ありがとうございます…!少しでも雨に対する思いが伝わればいいな〜と思います。こちらこそ最後まで読んで頂きありがとうございました! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
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