身を守るには人の盾 ページ10
「犬飼先輩!」
「おっ、どうしたのもも。いつもより可愛いことすんじゃん。」
犬飼先輩を見つけた瞬間、俺は光が差して見える先輩の背中に隠れた。
すると二宮さんは顔を顰めた。
流石に苦手だからとは言え先輩の前から逃げるような態度をしたのは不味かったか。
あ、加古さんは大丈夫、気にしない。
「あら犬飼君、随分李香に懐かれていたのね。知らなかったわ。」
「あはは、加古さんこんにちは。」
「こんにちは。」
そう、加古さんと挨拶を交わした犬飼先輩は後ろに隠れる俺に顔を向けた。
「もも、可愛くて何よりなんだけど、流石にこのままじゃ二宮さんが拗ねちゃうから、せめて俺の隣に来て欲しいな。」
「拗ねる?なんで。」
「あはは、まぁここに来て欲しいなー。」
「……分かりました。」
渋々犬飼先輩の後ろから出て、犬飼先輩の隣に並ぶ。
「ほら、二宮さん。用は伝えられたんですか?」
「まだだ。今から言う。」
「早く済ませて頂戴二宮君。私も李香も暇じゃないの。」
「チッ…古神。」
え、チッって言った?
加古さんに舌打ちした?
え、
おもしろ(最低)
「はい。何でしょうニノミヤサン。」
「今週末、予定は空いているか。」
「?……4時から防衛任務で、その後は暇ですけど。」
「そうか。なら、ランク戦でもどうだ。」
「お断りします。」
「何故だ…!」
いやいや、何故ってこっちが聞きたいよ。
何、また俺をボコボコにして心も身体も八つ裂きにしようとしてるってこと?
隣の犬飼先輩や加古さんが笑いを堪えているが、俺からしたら何も笑える事じゃない。
助けて隠岐。俺この二宮さんの圧力と怖さに負けちゃいそうだよ。今まで甘やかしてくれてた有り難さが今になって気付かされたよ。
「じゃあ、焼肉はどうだ。好きだろう、肉。」
「李香はスイーツビュッフェの方が好きよ。」
「何故お前が答える加古…!それに、古神。」
「へ?…は、ハイ。」
「お前は小さいんだからもっと肉を食え。」
「……あちゃー。」
ちょ、人が食う物にまで口出ししてきたこの人!!
それに小さいって、気にしてるのに!!
「焼肉もお断りします!行きましょう加古さん、では失礼します!」
「あら、引っ張らないでよ李香。じゃあ、犬飼君またね。二宮君は言葉を学んでまた来なさい。」
俺は加古さんを引っ張って、隊室に帰った。
「加古の野郎……俺を馬鹿にしてんのか。」
なんて二宮さんの声が廊下に響いたとかなんとか。
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2022年11月10日 19時