いつもの時間、いつもの場所(O) (ページ8)

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No.8 ページ8

エレベーターに二人で乗ってモーター音だけが響く。

ポン…と綺麗な音が最上階に着いたことを知らせてくれた。

無言で引かれた手を握りしめて、大人しく付いていく。

智「あーあ。着いちゃったね～。」

そう言って扉の上下についた鍵穴を回して指紋で解除した扉が開いた。

心拍数が上がる。

フワッと大野さんの匂いが私を包み込んだ。

パタリと扉が閉まる。

智「あーあ。入っちゃった。」

『え…。』

智「この時間。もう泊まるしかないよね。男の家に上がるって事は…俺も期待して良いってことでしょ…？」

顔はいつもの優しい顔なのに。
言ってる事はかなり大人で、握られた手を振りほどけないのは私が貴方に期待しているから。

智「もう、逃げらんないけど覚悟できた？」

『…。』

智「俺のこと…好きならおいで。」

ほら、分かっててそんなこと言う。

私が貴方を好きなこと、本当はずいぶん前から分かってたんでしょ？

大好きで、どうしようもなく大好きで。

私はすんなりと貴方の香りが充満するお部屋にお邪魔した。

これが一夜の夢になってもいいと

強気になっていた。