10話 ページ12
Aside
何であんなこと言ったのかな?自分でも分からない。なのに涙は止まることを知らなくて。
『私は、どうしたら良いの……?』
枕を抱き締めながら泣く。どうせ兄さんたちには聞こえないんだから。そう思ってたくさん泣いた。
泣いて泣いて泣いて。枕がグッショリと濡れた。このままでは自分が壊れそうで怖かった。
苦しい記憶も悲しい現実も涙と一緒に流れれば良いのに...
気がつけば、太陽と青空が顔を出していた。疲れて眠ったんだろう。瞼が重い。
『お昼前か。お腹減ったな』
空気に溶け込むぐらいの小さな声で呟く。静かすぎるのも好きじゃない。だから聞かれなくても独り言を言うのが癖になった。
一階、兄さんたちがいたら嫌だな。でもお腹減ってる。究極の二択だな。
『あ、確かめなきゃ』
ふと、思い出した引っ越しのこと。家がどのくらいで出来るのか聞いてなかった。
思い立ったら行動!普段使うスマホからハタ坊の番号を見つけてタップ。1コールで繋がったのはビビった。
〈どうしたジョー?〉
『あー、引っ越しのことで質問が』
〈明日には出来るジョー!〉
『いや、早くね?』
嘘だろ?家って普通さ、設計図とか基盤とかの用意もだけど、材料も多いよね?
〈イヤミに明日のお昼に行かせるジョー!〉
『何から何までありがとね』
〈別に気にすること無いジョー?僕もデカパン博士もイヤミもチビ太も、みーんなAの味方だジョー!〉
『...うん』
私は愛されてるんだな。いろんな人に。なのに、感謝よりも悲しみの方が強いや。
だって自分の兄からは見放されてるんだから。
スマホからはツーッ、ツーッ、と繋がりの途切れた機械音が流れる。みんな優しいよな。こんな私に。
本来は荷造りとかした方が良いんだよね。でも私のお腹の虫はずっとうめいている。そろそろ限界だ。
お母さんにラインしよ。
A:お母さん、兄さんいる?
松代:えっとね、一松と十四松がいるわ
A:了解、ご飯食べに行く
松代:分かったわ
私は一緒に続く道に足を進める。
もしも、チャンスがあるのなら
もしも、私を妹と見てくれるなら
もしも、私の味方だと思ってくれるなら
2人を、また兄さんと呼んで良いですか?
最後の希望を信じてみても良いですか?
一緒に...笑い合ってくれますか?
私を1人にしないで。兄妹の枠に入れて下さい。
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ゆき(プロフ) - 続きがとても気になるので,友達申請させていただきました!だ (2019年5月7日 19時) (レス) id: 741d7c394d (このIDを非表示/違反報告)
ムギ(プロフ) - 続きが気になるので、友達申請させて頂きました! (2019年5月1日 4時) (レス) id: 40229cd54e (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - この小説面白〜いです!友達申請させてもらってもいいですか(^^) (2019年4月8日 12時) (レス) id: 7e2f4c64ce (このIDを非表示/違反報告)
七香(プロフ) - 続きが気になるので友達申請させていただきます! (2019年4月1日 13時) (レス) id: 35bfb76efc (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - すごく続きが気になります!なので友達申請させて頂きました! (2019年3月19日 23時) (レス) id: b0e1119457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三鈴 | 作成日時:2017年8月25日 18時