検索窓
今日:4 hit、昨日:33 hit、合計:743,134 hit

10話 ページ12

Aside


何であんなこと言ったのかな?自分でも分からない。なのに涙は止まることを知らなくて。


『私は、どうしたら良いの……?』


枕を抱き締めながら泣く。どうせ兄さんたちには聞こえないんだから。そう思ってたくさん泣いた。

泣いて泣いて泣いて。枕がグッショリと濡れた。このままでは自分が壊れそうで怖かった。



苦しい記憶も悲しい現実も涙と一緒に流れれば良いのに...



気がつけば、太陽と青空が顔を出していた。疲れて眠ったんだろう。瞼が重い。


『お昼前か。お腹減ったな』


空気に溶け込むぐらいの小さな声で呟く。静かすぎるのも好きじゃない。だから聞かれなくても独り言を言うのが癖になった。


一階、兄さんたちがいたら嫌だな。でもお腹減ってる。究極の二択だな。


『あ、確かめなきゃ』


ふと、思い出した引っ越しのこと。家がどのくらいで出来るのか聞いてなかった。

思い立ったら行動!普段使うスマホからハタ坊の番号を見つけてタップ。1コールで繋がったのはビビった。


〈どうしたジョー?〉

『あー、引っ越しのことで質問が』

〈明日には出来るジョー!〉

『いや、早くね?』


嘘だろ?家って普通さ、設計図とか基盤とかの用意もだけど、材料も多いよね?


〈イヤミに明日のお昼に行かせるジョー!〉

『何から何までありがとね』

〈別に気にすること無いジョー?僕もデカパン博士もイヤミもチビ太も、みーんなAの味方だジョー!〉

『...うん』


私は愛されてるんだな。いろんな人に。なのに、感謝よりも悲しみの方が強いや。


だって自分の兄からは見放されてるんだから。


スマホからはツーッ、ツーッ、と繋がりの途切れた機械音が流れる。みんな優しいよな。こんな私に。

本来は荷造りとかした方が良いんだよね。でも私のお腹の虫はずっとうめいている。そろそろ限界だ。


お母さんにラインしよ。


A:お母さん、兄さんいる?

松代:えっとね、一松と十四松がいるわ

A:了解、ご飯食べに行く

松代:分かったわ


私は一緒に続く道に足を進める。






もしも、チャンスがあるのなら

もしも、私を妹と見てくれるなら

もしも、私の味方だと思ってくれるなら







2人を、また兄さんと呼んで良いですか?

最後の希望を信じてみても良いですか?

一緒に...笑い合ってくれますか?



私を1人にしないで。兄妹の枠に入れて下さい。

11話→←9話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (529 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
960人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん , 歌い手 ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆき(プロフ) - 続きがとても気になるので,友達申請させていただきました!だ (2019年5月7日 19時) (レス) id: 741d7c394d (このIDを非表示/違反報告)
ムギ(プロフ) - 続きが気になるので、友達申請させて頂きました! (2019年5月1日 4時) (レス) id: 40229cd54e (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - この小説面白〜いです!友達申請させてもらってもいいですか(^^) (2019年4月8日 12時) (レス) id: 7e2f4c64ce (このIDを非表示/違反報告)
七香(プロフ) - 続きが気になるので友達申請させていただきます! (2019年4月1日 13時) (レス) id: 35bfb76efc (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - すごく続きが気になります!なので友達申請させて頂きました! (2019年3月19日 23時) (レス) id: b0e1119457 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:三鈴 | 作成日時:2017年8月25日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。