八犬伝―東方八犬異聞― 『私の大切なもの…』

第十六話 ページ19

しばらく歩いていると、白と黒の修道服を着た男達に、道をふさがれた。
教会本部の命令で、３人を迎えに来たらしいが、
男たちの上から目線な態度と
ジロジロとこちらを見てくる様子に腹が立ったAは、信乃の前に立った。


『悪いが、先に宿によらせてくれ。荷物もある。』

「その必要はない。宿泊先はこちらで用意した。
　―あぁしかし、成程、噂通りだな。
　時を止めたまま成長しない子供というのは本当だったんだな。
　本当に…小さい」


Aの背後にいる信乃を見て、男に、禁句でもある「小さい」と言われた信乃は
当然ながら、怒り、Aの前に出ようとした。


信「テ…メ…！」


その時


莉「犬塚信乃
思ったより遅かったな。待ちかねたぞ」


全身白い服に身を包んだ、整った顔立ちの男が、３人のもとに歩いてきた。
修道服の男たちは、その人物が意外だったのか、とても驚いてた。


「里見様…！？何故こちらに…」

莉「この3人を迎えに来ただけだ。大塚村の生き残りの者なら私の仕事だろう？」

「いや…しかし…っ」

莉「来い、3人とも」

「里見様！！」


白い青年に呼ばれ、顔見知りの信乃とAは無言でうなづくが、
青年を知らない荘介は少し困惑していた。


荘「里見…？」

信「莉芳」

荘「え？」

『獣憑きの四家の一つ、「里見」』

信「里見莉芳だよ」

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