八犬伝―東方八犬異聞― 『私の大切なもの…』

第十四話 ページ17

帝都の駅につき、氷漬けになった僧を一緒に下した。
「この御仁どうしましょうか？」と荘介が信乃に聞くと、信乃は見向きもせず
「ほっとけ！」と言った。
３人で出口に向かって歩いていると、後ろから大きな声で、呼び止められた。


「なぁ、ちょっとそこの三人！！
大きいのと中くらいのと小さいの！！ちょっと待ってくれ！！」

荘「大きいの？」

『…中くらい…の？』

信「………小さいの？」

「私は道節！！犬山道節だ！！君らは？」


そう聞かれ、3人は足を止め眼鏡の青年――道節の方へと振り向いた。


荘「犬川荘介」

『犬塚A』

信「犬塚信乃
じゃあまたな、雪姫。道節も！」

道「(呼び捨てかよ…)」

信「あ、忘れてた！！挨拶、村雨もだって」

村［ユキー･］


信乃が腕から村雨を出すと
雪姫はにこやかに笑ってヒラヒラと手を振った。


『(黒は挨拶どうする？)』

黒［そうだな…またな、とでも伝えておけ］

『雪、黒が「またな。」だってさ』


そう伝えると、黒からの言葉が意外だったのか、雪姫は驚いた顔をしてから
ニコリと微笑んだ。

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