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土曜日の午前8時。
いつもより早めに起きた銀時は、その身を引きずるように事務所のソファへ運んだ。二度寝しようと目を閉じるがどうも甲高い声が部屋に響いていて、頭が冴えてしまった。
「いけいけ!お前なら倒せるアル!」
レスリングでも見ているかのようなノリでテレビにかじりついているのは神楽。
テレビにはふわふわとした着物ドレスに身を包んだ少女が、怪人を前に奮闘する様子がある。これが巷で子供に人気の「腐璃鬼亜(プリキア)」だろうか。少女たちは刀を握り、怪人を次々とぶったぎっていく。もちろん盛大に血が飛び散っているわけだが、これは子供の精神衛生上最悪なのではないだろうか。
「ねえ神楽ちゃん。朝から気色悪くなるようなもの見せないでくれる?」
「何言ってるアルか?みんな可愛いヨ。
特にこの子なんか」
神楽がテレビの画面を指でつついた。そこには赤色の長い髪を高く束ねた少女がいた。
「なんか・・・」
その髪の色、長さが銀時に旧友を思い出させた。
[あいつは今ごろ何をしているだろうか。
無事だろうか。
そういえばろくに言葉も交わさずに別れてしまった。]
「銀ちゃーん?どうしたアルか?」
急に押し黙った銀時の顔を神楽は不思議そうに覗き込むが、腐璃鬼亜がクライマックスに突入し、そちらに興を移した。
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沖田ファン - プロフィールの高杉晋助の漢字が違いますので、訂正お願いします。 (2019年3月2日 15時) (レス) id: a06ab380f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年4月8日 9時