2人が出張で帰れない日の話�� ページ9
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「今日は確かお2人揃って
出張と言ってましたね。」
「そうなんです。名古屋に行ってるみたいで。
最初は日帰りって言ってたから
せっかくだし一泊して、観光がてら
おみやげお願いしました。」
「それはそれは…早く帰って
Aさんに会いたかったでしょうに。」
マスターは穏やかに笑うと
Aの洗ったグラスを拭き上げた。
「こういう時じゃないとゆっくり
会えない人もいるから今日は、ね??
2人で会うと怒られちゃうから
マスターも一緒ならいいかなって。」
悪戯気に笑ったAはもうじき
やって来るであろう人物を思い浮かべた。
「そうですね。では私たちも着替えましょう。」
手書きのボードを片付け
入口のプレートをCLOSEにすると
テーブルの拭き掃除まで終わらせてた。
外の看板とカウンター以外の照明を落とした。
ベストを脱いでエプロンを外すと
マスターと並んでカウンターに座った。
Aがお買い上げしたウィスキーを
丸氷の入ったグラスに注いだ。
「いただきます、Aさん
今日もお疲れさまです。」
「お疲れさまです。」
カチンとグラスを合わせると口を付けた。
「…やっぱり美味しいですね。」
「えぇ。私がまだ若い頃に
初めて飲んだ時は衝撃を受けました。」
「マスターがバーを開くきっかけになった
お酒だって言ってましたよね。」
「…そうですね。恥ずかしながら
傷心していた時に入ったバーの
マスターに救われました。」
「…そのおかげでわたしもマスターに
出会えたから感謝しないと。」
「いい仕事に就けたと思います。
たくさんの人と出会い、その人生に
断片的ではありますが関わることのできる。」
マスターがそう話すのにAは
感心したように深く頷いた。
「マスターはわたしと同じ匂いがするって
思ってたのが失礼ですよね。」
「…Aさんと同じでしたよ、私も。」
「そうなんですか…??」
「私もあなたと同じ年の頃に
大切な人を亡くしました。
それから分からなくなってしまったんです。」
マスターは苦笑いしてそう言った。
「…私の愛とは何だったんだろうと。」
Aは目を伏せてマスターの話を
静かに聞いていた。
「…だからマスターはこんなに素敵なんですね。
幸せに生きて来た人はもちろん綺麗だけど
ちょっと傷があるくらいの方が好きかな。」
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むちょ - とってもとってもとっても素敵なお話でした！！一気に読んでしまいました('ω')3人で幸せでとっても良きでした！ (12月14日 17時) (
レス) @page2 id: a1b97b3e35 (このIDを非表示/違反報告)
YUMi(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます!!そう言って頂けると嬉しいです(◍•ᴗ•◍)わたしも書きながらニヤニヤしてます笑 (2023年2月20日 5時) (レス) id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです‼️ニヤニヤしながら読んじゃいました！ (2023年2月19日 1時) (レス) @page19 id: ac76470a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：YUMi | 作成日時：2023年1月19日 17時
