41 ページ42
·
Aはそう話す叔父を見上げた。
「オジさんはいっつも嘘つくからなぁ。
わたしだけがまた痛い目見るってなったら
今度はもう許さないよ??」
すっかり温度を失くした冷たい目で見つめられた叔父は僅かに狼狽えたように視線を彷徨わせた。
その様子をしっかりと見たAは、冷たい目のまま微笑んだ。
「…どうしよっかなぁ。」
愉しそうに声を弾ませたAはスマホを弄り、ボイスレコーダーを起動した。
「今の話、もう1回してくれる??もちろん、
金を巻き上げるとかは言わなくていいからさ。
出来るよね??オジさん。」
Aがスマホを向けると叔父は呟くように言った。
「…このリストに書かれたことを完遂した
暁には、俺はお前と金輪際関わらないと誓う。」
「手ぇ出して??」
Aは叔父の小指をカバンに付けられた飾りのピンで刺すと、自分の小指も同じく刺した。
そしてプクッと溢れた血同士を合わせた。
「血判代わりね。
血縁者の血を合わせて約束したんだもん、
破ったら大変なことになりそうだね??」
そう言うAを叔父はどこか恐ろしいモノでも見るような顔で見やると、背を向けた。
「…金は払っとく。」
「ありがとう。…ねぇ、オジさん??」
ほんの少し甘さを含んだ声でそう呼ばれ、叔父は条件反射のように振り返る。
「この13年で強くなったのは自分だけ、
なんてまさか思ってないよねぇ??」
叔父はあまりにも堂々とそこに座るAに思わず体が震えた。
「わたしは今までされたこと
何1つだって忘れてないよ。
痛かったことも苦しかったことも、ぜーんぶね。
だからこれからたくさん愉しませてね??
どうせ全部くだらないなら
こんな人生も楽しんだモン勝ちでしょ??」
「…っお前、どうかしてるぞ!?」
「そんなに震えちゃってどうしたの??
これはオジさんが持ち掛けた遊びでしょ。」
付き合ってられないとばかりにドアを開けて出て行く叔父のその背に、もう一言。
「…どうかしてるって??それ、褒め言葉だよ。」
「っ…」
逃げるように部屋から出た叔父の耳にはAの愉しげな笑い声がいつまでも響いていた。
「…いっそ素晴らしいほど馬鹿馬鹿しい。
1人で泣いて終わりにしないから。
最期に一生懸命踊ってね??
ちゃーんと見てるから。」
そう呟いたAはタバコの灰を落とした。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YUMi(プロフ) - ゆんこさん» ゆんこさん、新作見てもらえて嬉しいです!!期待に添えるように頑張ります(◔‿◔)性格悪めは書いてて楽しいです笑 (2022年11月13日 16時) (
レス) @page4 id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんこ - 新作待ってました！性格悪い夢主ちゃんいいですね！！これから楽しみにしてます！無理をなさらず頑張ってください！！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page2 id: 8a5959758c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：YUMi | 作成日時：2022年11月12日 18時
