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夕方過ぎに目を覚ましてスケジュールを確認し、またいつもと変わり映えのしない1日が始まる。
退屈ではない。
何せ今のAは楽しいことばかりなのだから。
週に4·5回は愛人の仕事に行き、何もなく家にいる日は飽きるほど水槽を見つめる。
「今日はオフだし飲みに行こうかなぁ。」
スマホの時計が21時を回った所で黒いタイトワンピースに着替えて、髪をゆるく崩したポニーテールにすると薄っすら化粧をしてカバンを肩に掛けた。
玄関でヒールを履くと、ひっそりある隠れ家のような行き付けのバーに向かった。
カラン♫
ドアを開けると可愛いベルが鳴りAは奥のカウンターに座った。
グラスを拭いていたマスターはAを見て微笑むとよく冷えたおしぼりを渡した。
「いらっしゃいませ、久しぶりですね。
本日はどうなさいますか??」
「ビールお願いします。」
「かしこまりました。お待ち下さい。」
サーバーでビールを注ぐとお皿にピスタチオを用意して、Aの前に置いた。
「どうぞ。」
「ありがとう、マスター。」
笑ったAはビールを飲みタバコに火を点けた。
マスターはグラスを拭きながら一言二言Aの話すことに優しく相槌を打った。
「そういえば、飼われている
クラゲはお元気ですか??」
「マスターのおかげで元気ですよー。
クラゲ飼うなんて無理だろうって
知り合いには散々言われたけど
マスターが色々調べてくれたから。」
「お役に立てて何よりです。好きなものが
家にあるのは素晴らしいことですから。
何より生きる活力になります。」
「ホントにそう思いますー。
ヒマさえあればずーっと眺めてるもん。」
Aの言葉にマスターも笑い、お代わりのビールを用意した。
「…今、楽しく生きれていますか??Aさん。」
Aはマスターの問いに目を瞬かせたが、すぐにくしゃっと目尻を細めた。
「とっても楽しい!!」
マスターは穏やかな顔で頷いてくれた。
このマスターとは20歳からの付き合いになる。
出勤途中のマスターが仕事終わりのAに声を掛けて、店に連れてきたのが始まりだった。
それ以来Aにとっては気を抜ける数少ない人物の1人である。
カラン♫
客がAだけの店内にベルの音がして、マスターは声を掛けた。
「いらっしゃいませ。」
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YUMi(プロフ) - ゆんこさん» ゆんこさん、新作見てもらえて嬉しいです!!期待に添えるように頑張ります(◔‿◔)性格悪めは書いてて楽しいです笑 (2022年11月13日 16時) (レス) @page4 id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんこ - 新作待ってました!性格悪い夢主ちゃんいいですね!!これから楽しみにしてます!無理をなさらず頑張ってください!! (2022年11月12日 22時) (レス) @page2 id: 8a5959758c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YUMi | 作成日時:2022年11月12日 18時