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武道はこの日見た小さな背中をこの先、
一生忘れることはないと思った。
東京卍會の黒い特攻服を靡かせて、
赤い襷をキツく締めて前を向く
男だらけの中に1人だけ紛れた
美しく凛々しいAの姿を。
廃車場にギャラリーが集まる中、
Aは隊長たちの先頭に堅と並んでいた。
「…お前、大丈夫か。」
「何がー??」
伺うようにAを見ていた堅は
いつもの調子で帰ってきた返事に笑った。
「…いーや、何でもねぇわ。」
「一虎元気だった??」
「元気だったな。止められなかったが…」
「仕方ないよ。
みんな思うことがあるから戦うんだもん。
わたしたちもそうでしょ。
それで圭介取り返そうね。一虎だって。」
「…あぁ。」
堅はどこか心強そうに頷いた。
Aが笑うと廃車場の扉が開いた。
万次郎が仕切りを務めてくれた
ICBMの阪泉に言葉を掛けた。
「代表者前へ!!」
歩を進めた堅にAは伏せていた目で
前を見据え向かい側から歩いてくる一虎を見た。
「よぉ、A!!
久しぶりだなぁ。やっと会えた。」
嬉しそうににんまりと笑う一虎に
Aはクスリと笑みを返した。
「久しぶり。
色んな意味で変わってないみたいだね。
安心したよ、一虎。」
堅が東卍の目的はあくまで
場地を取り戻すことと告げた。
一虎の目が一瞬揺れたのを
Aは見逃さずに走った。
阪泉に殴りかかる一虎を
飛び蹴りで相殺して、着地した。
「手癖が悪いんだよ、一虎は。
話し合いくらいしないとだめでしょ。」
「ふはっ。
相変わらずいい蹴りだなぁ、A。」
「ばはっ。ヤリ合うとしようじゃねぇか。
マイキー、Aチャンよぉ。」
半間の言葉を合図にお互いのチームが
走り出し、抗争が始まった。
Aは阪泉に端に避けるように言った。
「阪泉くん、せっかく仕切りお願いしたのに
メチャクチャになっちゃった。
もう手がつけられないなら避けててね。」
「庇われちまったな。すまねぇがそうする。
抗争はしっかり見届けるからな。」
そう言う阪泉にAは頷くと
一礼して抗争に加わった。
手っ取り早くAを囲んだ
芭流覇羅のメンバーを堅が薙ぎ倒した。
「女から潰そうなんて小せぇヤツらだな!!
だがうちの特攻隊長
舐めてもらっちゃ困るんだよ!!」
そういきりたつ堅は一虎に向かって行った。
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作者名：YUMi | 作成日時：2022年7月23日 12時
