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「さすがに30過ぎたら老けたかなー??
でも変わらずカッコよくて
安心したよお兄ちゃん。」
「Aちゃん、おかえり!!
会いたかったよー!!」
香菜も2人を抱くようにくっついてきた。
「改めて、結婚おめでとう!!
これからもよろしくね。
お兄ちゃん、お姉ちゃん。」
Aの笑顔で止まっていた時間が動き出した。
変わっていないリビングに入ると
Aの手配した花が置かれていた。
それに笑みを溢してテーブルを囲んだ。
お酒を飲みながらたくさん話をして夜を過ごした。
するとAのスマホが着信を知らせた。
Aはディスプレイに表示された名前に
笑みを浮かべて電話を取った。
「もしもし、お疲れさま。
うん、帰ってきたよ。」
相手の話すことに頷いたAは
カーディガンを羽織って聡に言った。
「お兄ちゃん、
今から大切な人と会ってくるね。」
「…うん。」
「そしたらお兄ちゃんに報告があります。
明日わたしに時間を下さい。」
「あぁ。行ってこい。」
聡の笑みに見送られて
Aはアパートのドアを開けた。
するとそこには万次郎が
昔と変わらない様子でバブに跨っていた。
「万次郎、ただいま。」
「おかえり、A…
死ぬほど待ったよ。
人のこと待つってこんな気持ちだったんだな…」
目を伏せてそう言う万次郎に
Aは近付くと、その体を抱きしめた。
「結構しんどいでしょ??」
「生きてる心地がしなかった…
ごめんな、A…」
「ねぇ万次郎、どっか連れてって??」
そう言って万次郎のバブの後ろに跨った
Aは悪戯げに笑った。
「おう!!」
Aを振り返った万次郎は
にかっと笑うとバブを走らせた。
昔と変わらずに。
Aは万次郎のヘルメットから見える
黒く染めて短く切られた髪を
不思議な気持ちで見ていた。
「万次郎ー!!」
「何ー??」
「何かこうしてると昔に戻ったみたいだねー!!」
Aの言葉に万次郎は声を上げて笑った。
「お前が変わんないでこうして
俺の側にいてくれるからだろーな!!」
どこからか潮の匂いがしてきて
Aは目を閉じた。
「懐かしいなぁ…」
どのくらい走ったのか、着いた場所は
3年前にプロポーズされた海だった。
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作者名：YUMi | 作成日時：2022年7月23日 12時
