【BLEACH】漫ろ雨には傘を【尸魂界篇】

〃 ページ49

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開けるとハート型に固められ、そこにはホワイトチョコペンで｢いつもありがとう｣と歪な形に書かれた文字。


「初めてだから上手くいかなかった･･･」





しょぼくれるAを見てから阿近はパキンと砕いて食べる。見た目に反して味は美味で驚いた。


「ありがとな」


実は阿近はバレンタインデーを知っていたがどうせAは知らないのだろうと諦めていた。
それが今叶ったのだ。これ以上嬉しい事はない。


「誰と作ったんだよ？」


「わたしがばれんたいんでぇを知らないって言ったら松本副隊長が作り方とばれんたいんでぇについて教えてくれたの。ばれんたいんでぇは大切な人に感謝を伝えるんだって」



ニコニコと笑いながら話すAに阿近も頬が綻(ほころ)ぶ。



「始めにちよこれいとを砕くんだって。あれは大変だった。毎年わたしにちよこをくれる人はあんなに大変な思いをしてたなんて知らなかった」



お互いの自室に着き、阿近が胡座で座るとその間にAが陣取る。珍しく甘えるAに驚くが、こんな好機はそうそう無いので堪能する事にした。


「ほら、Aも食えよ」


「え、いいよ。阿近の為に作ったんだから」




遠慮するAにしびれを切らし、強引に口に入れる。入れた瞬間Aの薄い唇に指が触れるが触れられた本人は気付いていない。



「うーん、やっぱり失敗した。来年はもっと頑張るね」



ある年からAはバレンタインデーには阿近と十二番隊にチョコを渡し始めるとその二年後にホワイトデーを知り、バレンタインデーにくれた人に渡す姿を目撃する。

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