また、は。 ページ7
no-side
太宰は拠点に戻った。
幹部だからだろうか、部下たちが近くにいない。
太宰にとっては好都合だったが。
自室へと入る。
そしてそのまま寝台へダイブした。
目裏では、此処で過ごしてこれた者達が見えていた。
太宰は昔から孤独だった。
生きる理由が欲しくて、この世界マフィアに入っても、理由は今でも見つからない。
織田の言う通り、闇を彷徨っていた。
けれど、全くないとも言えない。得たものもある。
この流血と暴力の世界で、大切なものが出来た。
互いを嫌悪しながらも信頼し"双黒"という名もある
才能がありすぎる不出来な
三重間諜をしていた
誰よりも信用してくれた
そして___妹。
『やっぱりねぇ』
部屋に響くいたの声は、まさに今目裏に出てきた"妹"。
重い頭をなんとか動かしながら"妹"を見る。
「まぁ、ね」
そう言えば、「へぇ」と軽く流されながら太宰に向かう。
そして太宰の黒い蓬髪を不器用ながらも撫でる。
「真逆Aに撫でられる日が来るとは」
『太宰も偶には頑張っているだろうしね〜偶に、だけど』
「別に"偶に"を強調しなくたっていいじゃないか」
『……太宰は頑張ってるよ』
頭がぐわんぐわん、と回されるがAに撫でられると考えると嬉しい太宰。
「A、君も来るかい?」
『何処でそんな発想になった?』
「君は私と似ている」
『…そう、だね。認めたくないけど私と太宰は似てる。
だけど私は"横光さん"と約束したから』
淡い赤色の瞳がしっかりとした深い赤い瞳となる。
太宰は安心したように「残念」と言う。
そしてAは太宰の鞄に必要な物をポイポイ入れていく。その中には砂色の外套があった。
「この外套は?」
『此処から出てから着てよ、私も加担したみたいになるから』
「とっくに加担しているじゃないか」
二人は笑う。
準備出来たのかAは「ん」と鞄を突き出す。
太宰はさっきのお返し、とばかりにAの頭を撫で、鞄を受け取る。
ただ前へ。織田が示した光の道へ。
『"またね"』
"また"という言葉に嬉しさを覚えながら太宰はAに向き合う。
「うん、"また"」
"人を殺す側"から"人を救う側"へ。
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作者名:MANA☆ | 作成日時:2024年2月12日 11時