夢野久作は。 ページ12
鏡花ちゃんの牢屋よりも厳重な牢屋へ向かう。
でも"あの子"を牢屋から出すとお腹に突進してくるんだよなぁ。
まぁ痛みの代償として、頑張ってもらおう。
最初に見えてきたのは壁だった。
AIが「暗証番号を記入してください」という。
首領に新しい番号を教えて貰った通りに押す。
すぐに壁が開いた。
そして、受け取った鍵を錠に差し込み、カチャリと半回転させて外す。
鉄格子の扉を開けると、小さな体が勢い良く腹に飛びついてきた。
『いっっっったあぁぁ!!』
案の定腹をやられた。
涙目になりながら、目の前を見る。
私の腹に突進してきた人物は特徴的な目を私に向ける。
「あははっ!久しぶりっAさんっ!」
『お腹に突進するのはやめようか……
___Qちゃん』
夢野久作__別名"Q"。
異能力『ドグラ・マグラ』という忌み嫌われた精神操作の異能を持つ子供。
私より20cm小さい容姿からは想像できない。
最初腹に突進してきた時はラグビー選手でも目指してんのか、と思ったけど。
「最近、愚痴を聞かされに来なかったから吃驚しちゃった」
『少年よ。愚痴というのは何時しか吐かないといけないものさ』
かっこよく言ってみたが、正直私のライフはゼロだった。
本当にごめんね。
腹の痛みを耐えながらQちゃんの頬をぷにぷにする。
「もーやめてよおー」と言うQちゃんは、フッと目を開いて私を見た。
「今日も愚痴を聞かされるの?」
『違うって。愚痴についてはまた今度言うね』
「今度も会えるの!?」
もう私此処に住もうかな。
会えるだけで嬉しがってくれるのおばさんにとっては嬉しいことじゃな。
『そんなQちゃんにビックニュース!!外に出られることになりました!』
「え、本当!?」
『うん』
目を輝かせ、全身で喜びの舞を踊っていた。
うん、可愛い。
でも、これ何時まで続けるの。
別に私はいつまでも見てられるけど。
彼には"駒"になってもらわないと。
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作者名:MANA☆ | 作成日時:2024年2月12日 11時