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第1話 ページ2

ペラリと紙をめくる音だけが響く空間。
いつものように外を見ると、遠くに魔王城がある。


私はこの部屋が嫌い。
外では村の子どもたちがワイワイと遊んでいるというのに私ときたら…

勇者の子孫だからとはいえ、毎日魔法の勉強なんて嫌になっちゃう。


私はまだ6歳。お勉強するにはまだ早いんじゃないかしら?
それをママに言ったら、ほっぺたを思い切り叩かれた。


「勇者として戦うのに休んでる暇はない、なんて言われたの。酷いと思わない?」


私は唯一の友達であるヤギの人形にポツリと話しかけ、ため息をついた。



この村は、世間では勇者の村だと言われてる。

私が生まれる前に魔王と戦った、ここの村出身の勇者さま。
どこかの国のお姫さまと結婚して子どもを産んで…そうして勇者の血筋がどんどん受け継がれていって、今では数十人の勇者の子孫がいるってママが言ってた。

そのうちの4人がこの村に集まってる。それなのに、私は他の勇者の顔を知らない。

それはきっとママのせい。
私は女だから剣は握れないってことでママから魔法をみっちり叩き込まれてるけど、もううんざり。


外で遊んだことなんか1度もないし、そもそも遊び方も友達の作り方も知らない。
私が知ってるのは魔法のことだけ。


そんな私の唯一の楽しみは、外から村を眺めること。


ママに見つかったら怒られちゃうけど、息抜きなしで勉強なんて絶対に無理。

だから私は、ママがお仕事に行ってる時を見計らって外を眺める。


お店におつかいに来ている女の子や、犬と追いかけっこをする男の子。

村の様子は見てて飽きない。


そして、私が1番気になっているのは3人の男の子達。

いつも私の家の近くで遊んでる。
その姿がほんとに楽しそうで、私も一緒に遊びたい…なんて思うけど、その度にママの顔が頭に浮かぶ。


ふと、男の子達と目が合った。

まただ。
最近、この子達とよく目が合う。

すると、3人がこちらに向かって走ってきた。
こんなこと初めてだ。

いつもは目が合ったら私が逸らしちゃうんだけど、今日はすぐ男の子達が駆け寄ってきた。

いつもとは違う出来事に、なんだか少しワクワクした。

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猩々(プロフ) - パトさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。この作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年3月19日 19時) (レス) id: f5012a712b (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。終盤の段々狂っていく感じが凄くゾクゾクしました。読み終わってから設定キーワードを見て「こんなところにもメッセージが……」と感動しました。長文、駄文失礼しました。 (2021年3月17日 22時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猩々 | 作成日時:2020年11月6日 14時

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