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私が一番恐れている「鬼の櫻井」こと櫻井部長の登場に、更に足がガクガクしてきた。
逃げられない。
相手の紙が詰まっていて文書を見ることが出来ないというのは不幸中の幸いなだけで、これはれっきとしたミスなのだから。
事情を説明する。
横には二宮が立ってくれている。
目の前の部長は、どんどん顔を強張らせていく。
「……どうして立ち合い送信しなかった」
FAXは原則立ち合い送信だ。
短縮番号を入力し、それがその取引先の番号と合致しているか、２人で確認をする。
「申し訳ありません。怠りました」
「だからどうして」
「……皆忙しそうだったので」
「……お前は新入社員か？」
本当に新入社員のような言い訳をした。
分かっている。
それが事実だとしても。
「どうして立ち合い送信をしないといけなくなったのか。こんな誤送信が起きるからだよなぁ？」
「……はい」
「お前何年目だ。何で今更こんなミスをするんだよ！」
バシン！と手元の資料を机に叩きつけた部長。
その音で、営業部フロア全員がこちらを向いた。
「……本当に、申し訳ありません」
「先方にはどう言い訳するつもりだ？さっきみたいに、忙しかったから間違えましたって、クソみたいな言い訳すんのか！」
「……いえ、あの、きちんと」
「A社とB社の関係は知ってるな？競合だよなぁ？考えてみろ、被害を被るのは俺らだけじゃない、B社もなんだよ！A社のFAXが紙詰まりしなかったら今頃どうなってたと思ってんだ！」
目の前の部長の激昂ぶりに、じわりじわりと涙が出てくる。
私が悪い。
当然だ。
でも、こんなに強い言い方しなくたって。
部長が、怖い。
「っあー……部長？ひとまず、謝りにいきません？」
二宮が、この雰囲気を和ますように言葉を発した。
部長が「あぁ、そうだな」と手元のカバンを持つ。
「おい増井、俺と二宮出るから。帰社予定は不明。後は頼んだ」
「あっ、はい」
増井さんにそう言うと部長は二宮に「行くぞ」と言う。
「部長、私も」
「帰れ」
「え」
「さっきみたいな言い訳しに行くんだろ？そんなヤツ、いらない。帰れ」
部長と二宮がフロアから出ていくのを、私は呆然と見ているしかなかった。
帰れ、だって。
その部長の声に、涙腺が崩壊した。
その後、そうは言われても待っていた私に、増井さんは「今電話あったけど、大丈夫だったみたいよ。でも、直帰するって。Aも帰りな」って優しく言ってくれた。
謝ることすらさせてくれない。
何で。
どうして、部長。
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cori(プロフ) - Yuriさん» いつもありがとうございます！そろそろ帰国してほしいなーと思ってます笑 次移行しますのでもう暫くお待ちください！ (2019年6月4日 7時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています！翔くんが帰国するお話が気になります！更新、待ってます！ (2019年6月4日 4時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kaz2nsariさん» はじめまして、コメントありがとうございます！ニヤニヤしていただけたとのこと、とっても嬉しいです…！早く帰ってきてもらわないと、まだ書きたいことたくさんあるので…！また覗きに来てくださいね〜！ (2019年5月28日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
kaz2nsari(プロフ) - はじめまして！読ませていただきましたが、終始ニヤニヤが止まりませんでした！！翔くんがNYから帰ってきたあとのお話が気になります！！ドキドキ。。 (2019年5月27日 19時) (レス) id: f127e1252b (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - きみきみさん» こちらにもコメントありがとうございます！名前呼びをしてみました。仕事以外で部長と呼ぶとすこぶる怒ります笑 いつかのニノさんで言ってたことを言わせてみました。絶対履いてると思います笑 また来てくださいね！ (2019年5月22日 17時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cori
| 作成日時：2019年3月26日 19時
