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東条
朝から楽しそうにしている御幸先輩とAちゃんを見れば胸が締め付けられてすごく痛い。
もう今更何をしたって彼氏になれることなんて絶対にないんだと痛感させられる。
これで御幸先輩と両思いか…
やっぱり素直におめでとうなんて言えそうになくて。
二人をなるべく見ないように、Aちゃんを避けるようにしてしまう自分がいた。
「秀明君…ちょっといいですか…?」
「ははっ。なんで敬語?」
避けていても部活が終わると、Aちゃんに捕まってしまって。
本当はまだ顔を見るのも辛いんだけど…
「いや…それは……」
「そんな固くならないでよ」
「ごめん…でも秀明君に避けられてるのかなって思っちゃって。だから……」
俺のこと振っておいて、そんなこと言うのはずるい。
全く…と思いながら、振られても可愛いと思ってしまうのは直せないらしいな
「そんな顔しないでよ。Aちゃんに振られはしたけど、まだ俺は好きなんだからさ」
「……っ。ごめんなさい…」
謝るAちゃんの頭を撫でると、驚いた顔で俺を見つめてきた。
「謝らないで。これからも友達ではいるけど、俺は当分この気持ち忘れられそうにもないから…」
告白して振られたら逆に吹っ切れて。
いつもよりも積極的に接している自分自身に驚きを隠せないけど、これでいい。
まだ自分のことで精一杯だけど、忘れるのに時間が掛かるかもしれないけどーー…
今はAちゃんの近くにいたい。
普通の友達だと思えるように頑張るから
せめて彼氏ができるまでの間だけでいい、Aちゃんにとって困った時に頼れる一番の存在でありたい。
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作者名:HIKARU | 作成日時:2020年3月5日 13時