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東条
最近、同じクラスの小澤さんが妙に話しかけてきて好意を持ってくれてるのがわかった。
きっかけは、同じリレーメンバーになってからだったと思う。
東条君優しいよねー、とか東条君すごーい、とか褒めてくれるのは嬉しいんだけど…
その言葉は小澤さんからじゃなくてAちゃんからだったら嬉しいのにな、なんて思ったりしてて。
俺がAちゃんに駆け寄ったせいでビリになってしまった時も、あからさまに怒った表情だったし。
まさか、保健室まで来るなんて思ってなかった。
邪魔されたけど、結果的にはAちゃんに告白もできたしよかったんだけど……
「おい東条、お疲れな」
「…ん。ありがとう」
体育祭も午後練も終わり、自動販売機の横のベンチに座っていると信二がジュースを投げてきた。
「お前の顔見ればわかるよ。けど伝えたんだろ?」
「……ああ」
さすが信二、鋭いななんて思いながら貰ったジュースを開けて口に含む。
結局、Aちゃんを驚かせて何度も謝らせてしまった事は申し訳なかったと思う。
だけど、ちゃんと振られたから後悔はない…
………はずなのに、胸が痛い
「ちゃんと忘れられるかな俺…」
「すぐには無理だろーな。そんなすぐに忘れる必要なんてないだろ」
こんな時でもいつも通りに接してくれる信二がありがたい。
無駄に慰められたり、心配されるのは逆に辛い
振られて辛い今、こうやって横に信二がいてくれてよかったなと心から思った。
「信二ありがとな」
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作者名:HIKARU | 作成日時:2020年3月5日 13時