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東条
保健室に着いて、消毒液やら絆創膏を探す。
保健の先生は忙しいのか、外に出ているのか、姿が見えなくて二人きりの空間に少し緊張してしまう。
「染みるかな…?」
「多分…でもバイ菌入っちゃうと困るから。ちょっと痛いと思うけど我慢してね」
消毒液を見ると少し怖そうにしているAちゃんが可愛くて……
ずっとこのまま二人でいたいなって考えてしまう。
「うぅ…ありがとう秀明君」
「ううん、これでもう多分大丈夫だから」
手当てし終えると、外からの大歓声が保健室の中にまで響いて来てーー
「倉持先輩かな…」
Aちゃんがポツリと溢したその言葉に少し苛立ちを感じてしまった。
こうして二人きりでいても、話題は倉持先輩になってしまうのかなんて悲しくなって。
信二の言葉を思い出した。
このまま何もしないでAちゃんが誰かのものになってしまうなんて絶対に嫌だ。
「Aちゃん!!」
緊張のあまり大きくなってしまった声に、ビクッとして俺の方を見る。
「は、はい?」
「俺、実はーー…「東条君!!!」
気持ちを伝えようとした瞬間、保健室の扉が開きクラスメイトの小澤さんに名前を呼ばれた。
なんだよ…
せっかく伝えられそうだったのに……
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作者名:HIKARU | 作成日時:2020年3月5日 13時