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御幸
「御幸先輩！ドリンクどうぞ」
「ん、サンキュー」
練習中、ドリンクを渡してくれるAに笑いかければあっちも笑顔を返してくれて。
嬉しいと思う反面、前だったら顔を赤くして挙動不審だったのにななんて考えてしまう。
Aの肩を借りて泣いてしまった時も、ずっとそばで頭を撫でてくれたり。
すげー恥ずかしいことしたなって思うけど、でもすごく落ち着けたのは事実だった。
倉持にいきなり胸倉を掴まれて頭にきたから挑発的な言葉を返してしまったがーー…
自分の気持ちが自分自身、よくわからない
好きか嫌いかできかれたら間違いなく好きだが。
その好きが恋愛対象なのかどうかがイマイチわからずにモヤモヤとしてしまう。
「御幸先輩！お疲れ様でしたー！」
「御幸先輩！聞いてください！」
「御幸先輩！今日実はですね……」
“御幸先輩"といつも笑顔で話しかけてくれる回数が増えて、俺も自然と笑顔になれることが増えた。
以前よりも親しげに話してくれるAに嬉しく思うも複雑な気持ちも入り混じるようになって……
おいおい、まさか俺…なんて思う回数も増えた。
実際、Aの前で泣いてしまったその日にあのネックレスを捨てる事ができた。
Aがいてくれたから、俺はこうやって前に進むことができたと思ってるんだ。
戸惑いながらも自分の中で、Aへの気持ちが変わりつつあるのを感じていた。
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作者名：HIKARU | 作成日時：2020年3月5日 13時
