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御幸
「御幸ー!Aあんたのこと部室で待ってんだから早めに切り上げて行ってやんなよー」
梅本が急に俺に向かって叫んできて、素振りをしていた腕が止まる。
無心になりたくて、しばらくバットを振っているつもりだったが切り上げて部室へと向かった。
「うわっ!」
いきなり部室の扉を開ければ、ノートを見ていたAがビクッと驚いて俺の方を見る。
ノックすればよかったか?
「御幸先輩…!」
「梅本がここでAが待ってるって」
納得したような顔で、そうだったんですね。と嬉しそうに笑った。
「さっきはありがとうございました!……御幸先輩、多分その後何かありましたよね…?」
いつも通りに振る舞っていたつもりだったが、無意識に出ちまっていたのか?
不安げに見つめるAに意外とよく周りを見てるんだなーと思った。
「いや…まあちょっとな」
「すみません!!私のせいで……」
Aのせいじゃない、寧ろ知れてよかった。
だけど、麻耶達の前では多少強がっていたが時間が経つにつれてだんだんあの言葉が突き刺ささって。
「A、バカなのは俺じゃなくて結菜の方だって言ってくれたけどさ…やっぱり俺もバカだったわ」
不思議そうに不安げな瞳で見つめるAを見てるとだんだん目の前がぼやけてきた。
別れた後だって、涙なんて出なかったし笑いしか出なかったはずなのに……なんでだ
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作者名:HIKARU | 作成日時:2020年3月5日 13時