第91訓 どんな時でも行ってきますは言う事 ページ45
「ねぇ、そんな顔しないで?」
今日はAを置いて江戸に立つ日。
真選組が京都にきてまだ2ヶ月。
そして江戸を出てからはすでに7ヶ月が経っていた。
「その言葉そのまま返す」
Aがまた強がってる事に沖田は苛立ちを隠さない。
再び江戸に帰る時は2人一緒だと思ってたのに。
たった1週間足らずでもこの状態で置いていくことが不安だった。
「大丈夫だから、銀さんの事お願いね」
「他の男の事を彼氏に頼むかねィ普通」
兄とは慕っているが、あれこそ正真正銘他人。
結婚できるぞ、と文句を言うとAは笑った。
「ストレートの栗毛が好みなんだよね。目が赤い所はタイプだけど」
茶化されても沖田の顔はまだ不機嫌そうだった。
見張りと、合流の際の安全確保を兼ねて副隊長班はAと残る事になったのが気に食わないらしい。
それなら自分も後から行く、と
「総悟がいかないと近藤さんがまたあんな事になったらどうするの」
「わかってるからもうちとだけ」
帝の謁見を済ませて準備は万端。
それでも沖田はAの腹に顔を埋めたまま中々立ち上がろうとしない。
Aは本人の性格とは似ても似つかない真っ直ぐな髪の毛を戯れるように指に通す。
「総悟、いくぞ」
汽車の時間だ。土方がタイムリミットを知らせにくる。
「はぁ」
ゆるりと顔を上げた沖田はまだ機嫌が悪そうだ。
「行ってくる」
「うん、すぐに追いかけるから大丈夫。行ってらっしゃい」
点滴をしてない方の手で手を振る。
名残惜しそうに部屋を出る沖田を見送ると、土方がAの頭を一撫で。
「ちゃんと治してから来い」
「わかってるよ。気をつけてね」
こうして真選組は京都を立った。
Aは誰よりも早く京都に来て、そして誰よりも遅く去る事になったのだった。
真選組は長い様で短い様な時間を経て、再び江戸を守るためにその地へ戻る。将軍のいない、その地へと。
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___前を見ろ、剣握れ、戦え万事屋。真選組と____
それはいつか万事屋がくれた言葉。
第六百五訓「はちまき巻いたら受験生に見える」
第92訓 夕方に起きて一日無駄にしたわって思うけど、早起きしてもやることない→←第90訓 歩狩汗と書いてポカリスウェットって読ませるの本当に天才
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2021年8月27日 20時