あなたのことは苦手です。〈佐野玲於〉

諦め　玲於 ページ14

あー、また寝れなかった。




ｶﾞﾁｬ




玲「はよ」




亜「ねぇ玲於、日に日に暗くなってるけど大丈夫！？」




玲「んー」




今の俺はまさに無気力。




今日も、遅刻ギリギリ。




もちろん、メイクも俺が最後。




『佐野さん…寝てないんですか？』




毎日見てれば分かるか。




玲「まぁ」




『む、むりはしないでくださいね……って余計でしたね、すいません』




玲「…いや、ありがとう」




『は、はい』




あー、ダメダメ。




諦めるって決めたんだから、今。




心なしか、少し明るいお前。




玲「プロポーズ、受けたの？」




『な、なんで知ってるんですか！？』




玲「昨日、瀬良さんから聞いた」




『あー…』




玲「で、オッケーしたの？」




『あ、まぁ』




聞かなきゃよかった。




俺、もう今日仕事できない。




『佐野さん、終わりましたよ』




玲「ん」




“佐野さん、終わりましたよ”




それがなぜか、俺のこいつへの想いが終わったと言われたように聞こえて。




これで終わりか…




俺は、こいつのことを諦められるのだろうか。




……今のところ、できそうにない。




気づかなきゃ良かった。




会わなきゃ良かった。

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