あなたのことは苦手です。〈佐野玲於〉

▽　you ページ15

最近、佐野さんを目で追うことが増えた。




心配だし、あんな顔色悪いと。




ﾊﾞﾀﾝｯ




佐野さんが倒れた。




すぐに医務室に運ばれて。




私は撮影の合間でメイク直ししないといけなくて医務室には行けない。




大丈夫かな、佐野さん。




なんで寝れないんだろう。




「…ゃん？A…聞いてる？」




『……あ、亜嵐くん……』




亜「玲於のこと心配？」




『はい、最近寝れてなかったみたいなので』




亜「様子、見てくれば？」




『……っはい！』




仕事中なのに、なんて思ってたのに体は勝手に医務室へ向かう。




なんでだろ、苦手なのに。




……嫌われてるのに




ｶﾞﾁｬ




医務室には誰もいない。




佐野さんも今は楽そう。




ｶﾞﾀｯ




椅子に座ろうとして、音が鳴る。




玲「ん……」




あ、起こしちゃったかな……




玲「A…」




えっ、なんで私の名前…




初めて佐野さんに名前を呼ばれたときの感覚が戻ってくる。




ただ、今は心臓が一度じゃなく、止まることなく大きく動く。




なんなんだろう、これは…

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