151 ページ1
それからも私は何度か普通のご飯を食べることに挑戦した
1人の時や、修造くんがいる時も…少しだけ
いつもは自分しかいないときね
不快にさせてしまうから
一口食べて、吐いて、また食べて、吐いて
それを繰り返している
…あの男のせいだと思うと、憎たらしい置き土産だなと思ってしまう
普通のご飯が食べられればサプリを飲む必要がなくなる
だから飲む薬の個数も減るのに
…どうして他の人は食べられるものが食べられないのかしら
甘いものは好きだけど、普通のご飯を食べられる練習をしてから甘いもの以外も食べたくなってきた
だから何とか食べられるようにならないと
貴「っ、ぐ、ゔぇ…っ、」
………気持ち悪い
どうしても吐いてしまう
何がいけないの?
味はきっと大丈夫
飲み込むとどうしても身体が拒絶する
…どうしたら良いのかしら
いきなりご飯やおかずを食べるからいけないのかしらね
貴「ゔ、ぁ」
虹「うわ、Aさん?」
貴「………修造…くん…」
いつの間にか修造くんが帰ってきていたらしい
…気づかなかった
虹「ど、どうしたんだよ?大丈夫か?」
貴「…大丈夫、食事の練習をしていたの」
虹「ああ…また1人の時にやってたのか?いつも俺がいる時でも良いって言ってるのに」
貴「でも不快にしてしまうから…。それに、1人の方が…こんな姿を見られないから楽なの」
虹「…そっか」
貴「………いつまでも食べられないの」
虹「……やっぱりダメなんだ?」
貴「身体が拒絶して、胃が空っぽになるまで吐いてしまうのよ」
虹「…どうしたもんかな……」
貴「……いきなりご飯やおかずを食べるからいけないのかと思っているんだけど、どう思う?」
虹「あー…確かにそうかも。野菜とかから食べてみたら?」
貴「野菜……そうね…今度はそうしてみるわ」
虹「…なあ、俺から言ったことだけど無理しなくて良いからな」
貴「あら、大丈夫。私も食べられないといけないと思っていたところだったから」
虹「それなら良いんだけどさ」
貴「頑張って食べられるようになるから、そうしたら一緒に同じものを食べましょうね」
虹「ああ。楽しみにしてる」
そう言って修造くんが私を抱きしめる
ああもう、優しいんだから
そんなところが大好きよ
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:碧夜叉 | 作成日時:2019年5月13日 9時