【黒バス】花屋敷 Part3 (ページ29)

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貴「ん………」

本当にどうしましょう

少し考えさせてほしいとは言ったものの…

私が相続放棄したってしなくたって、祥吾にも相続されるのよね

親子の縁は離婚していても繋がっているから相続される

もし祥吾とその兄が相続するというなら、私が放棄した分も上乗せされるから…

…その方が良いのかしらね

でも私はお金がないと生活できないし

困ったわ…

虹「なあ、Aさん」

貴「…え、あ……どうしたの？」

虹「すごい難しい顔して呼びかけにも応答しなかったけど大丈夫か？」

貴「あ、あら、ごめんなさい。考え事をしていて」

虹「もし具合悪いなら言えよ？」

貴「大丈夫、平気」

虹「…何考えてたか聞いても良い？」

貴「……修造くんにはまだ話してなかったわね。あのね、私の父、亡くなったの」

虹「…は？」

貴「交通事故ですって」

虹「………じゃあ、もう、いないわけ？」

貴「そうね…、それで、遺産相続の話が出ているの」

虹「…Aさんが？」

貴「ええ。遺書がないから、私も相続人なんですって」

虹「…………こんなこと言うのは不謹慎かもだけど、俺、Aさんが自由になったかと思うと…嬉しい」

貴「…ふふ、大丈夫、私もよ。きっと私には人の心がないの」

虹「そんなことねぇよ、だって苦しめられてきたんだから…喜ぶのは良くないかもしれないけど、俺は良いと思う」

貴「……ありがとう」

虹「…で、遺産は相続すんの？」

貴「それで悩んでいてね…。私はお金がないと生活できなくなってしまうけど、相続税もあって面倒だし…それに何より、あの男が死んだのにいつまでも囚われそうで…」

虹「……そっか。今暮らせてるのって父親の金があるからだもんな」

貴「そうなの。それに働いたことがないから働くにしても…どうしようかしらと思って」

虹「Aさんが働いてるの、想像できない」

貴「私も。それに身体も弱いから迷惑をかけることしか想像できなくて」

虹「その金って、別に相続しなくても良いんだよな？」

貴「ええ、放棄は出来るわ。でも放棄した後の生活がどうなるか分からないから…」

虹「…今すぐ決めないといけねぇの？」

貴「少し考える時間をもらったわ。だから今度伝えないといけなくて」

虹「……ふうん…」

貴「あ、ごめんね、修造くんが気にすることじゃないの」

虹「…線引きされたみたいなんだけど。気にさせろよ」

貴「…ふふ、ありがとう」