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虹「………Aさん」
貴「どうしたの?」
虹「俺と一緒に、どっかに逃げようって言ったらついてきてくれる?」
貴「え?」
仕事終わりに私の家に来て、急にそんなことを言う修造くんには驚かされた
おかげで間抜けな声が出てしまう
貴「に…逃げるって、何処へ?」
虹「んー…どっか、遠いとこ。Aさんの父親の目が届かないくらい遠いとこ」
貴「…………あのね、修造くん。私はあの人がいる限りここにいないといけないのよ」
虹「うん、Aさんならそういうんだろうなって思ってたけど」
貴「…じゃあどうして?」
虹「この前、灰崎と飯食ってた時に言われたんだよ。Aさんを救ってくれって」
貴「あの子はまた…」
虹「俺だってそのつもりはあった。でも、灰崎が押入れからAさんが酷い目に遭うのを見てるだけしか出来なかったって言ってるの聞いて…」
貴「……」
虹「…思うだけじゃなくて、行動に移さないとって思ったんだよ。なあ、Aさん…今日も来たんだろ?…首に痕があるし」
貴「あ…」
正確には昨日だけど、父親は確かにまた来た
いつものように私を一通り甚振って、帰っていった
首の痕は、つい忘れてしまうわね
貴「…正確には昨日よ」
虹「でも痕、消えてねぇよ」
貴「そうね…簡単に消えないから…」
虹「…やっぱり、逃げようぜ」
貴「………逃げたら逃げ続けないといけないもの。それってとても疲れることよ」
虹「……嫌…か?」
貴「嫌じゃない、嫌じゃないの。ただ、出来ないの…私の精神的な理由だけど…」
虹「…父親、怖い?」
貴「ええ、怖いわ。産まれてからずっと暴力を振るわれてきたのよ?逃げて、貴方まで酷い目に遭ったらどうするつもり?」
虹「俺は別に良いけど、」
貴「私は良くないわ。修造くんが酷い目に遭わされたら耐えられないもの」
虹「………俺はAさんが苦しむの、嫌だ」
貴「…私なら大丈夫よ。そんなに言うなら……そうね、少し考えるわ」
虹「本当か?」
貴「…良い返事は期待しないでね」
虹「考えてくれるなら、それだけで良い」
貴「……修造くんには相変わらず敵わないわ」
虹「ん…ちゃんと待つから」
そう言った修造くんの目は真っ直ぐで、視線が少し…痛かった
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碧夜叉 - ミリイ(灰崎信者)さん» ありがとうございます!!そう言ってもらえて嬉しいです! (2019年4月5日 5時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
碧夜叉 - マリイさん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです! (2019年4月5日 5時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 最高過ぎる碧夜叉さんの虹村さん (2019年4月3日 23時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - 碧夜叉様の虹村さんカッコイイ 最高//// (2019年4月3日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2019年3月19日 1時