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虹「………なあ、俺さ」
貴「どうしたの？」
虹「今…親父が危ないっつーか、やっと持ち直したとこで」
貴「…お父様の容態、そんなに悪くなっていたのね」
虹「ん………それで、今は少し回復してるけどもしかしたらまた危ない状態になるかもしれないって。きちんと回復するにはアメリカで治療を受けるしか…」
貴「アメリカ…。でも、アメリカに行けば治る見込みはあるのよね？」
虹「多分、大丈夫。それでアメリカに…行くかって、話になってるんだけど」
貴「……ええ」
虹「俺はまだ学校があるし、しかも3年で卒業も近いから残れって言われてる。中学くらいは卒業しろって」
貴「そう…」
虹「俺以外の家族はみんな先にアメリカに行くんだ。俺は…卒業したらそれを追いかける形でアメリカに行く」
『アメリカに行く』
…………話を聞いていたときから、何故かそんな気がしていた
修造くんは優しいから、きっとお父様についていくんだと
貴「…………それじゃあ…会えなくなるわね」
虹「…うん」
貴「卒業したらすぐ行くの？」
虹「……多分すぐ」
貴「そう…。寂しくなるわ…」
虹「…でも俺、絶対こっちに戻ってくるから。父さんが治ったら絶対戻る」
貴「本当？待ってるわ。その時はまたここに来て欲しいの」
虹「絶対、来る。またここに来るから…なあ、Aさん。待っててくれる？」
貴「ええ、待ってるわ」
虹「何年かかるかわかんねーけど、それでも良い？」
貴「良いわよ。でもあんまり遅いとおばさんになってしまうから、出来るだけ早く帰ってきてね」
虹「おば…っ、Aさんは！いくつになったって綺麗だろ！」
貴「え…ぁ、あら…ありがとう…」
虹「………Aさん、顔赤い」
貴「…貴方のせいよ」
虹「お、俺さ！Aさんのこと、」
そう言いかけた修造くんは少し顔を赤くして俯いている
どうしたのかしら
貴「…修造くん？」
虹「……やっぱり何でもねぇ。あっちから帰って来たら言う」
貴「あら、そう？」
虹「…連絡とか、取りたいけど……Aさんってケータイある？」
貴「ケータイ……あるにはあるけど、使えるかしら…」
埃をかぶっているスマホの電源ボタンを押してみるも反応がない
壊れたかしらと思っていたら修造くんが充電してみたらどうかと言ってくれた
言われた通りにすると電源はつくようになり、きちんと機能もする
壊れていたわけではなさそうで良かった
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作者名：碧夜叉 | 作成日時：2018年12月13日 6時
