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虹村視点

Aさんを幸せにするってなるとかなり大変なんだよな

まあ、一番は父親の問題

Aさんをあんなに酷い目に遭わせる人が素直に応じてくれるとも思えない

むしろもう二度と出してもらえなくなりそう


貴「……なぁに?」

虹「え、」

貴「そんなにじっと見られたら…その、恥ずかしいわ」

虹「あ、ああ、ごめん。考え事してた」

貴「どんな考え事?」

虹「…秘密」

貴「あら、意地悪」


ふふ、とAさんが笑っている

あーー…綺麗だな…

…っていうか、あれ?


虹「Aさんて、いつも何食ってんの?」

貴「え?」

虹「お菓子作ってんのしか見たことないから、気になって。出前とか?」

貴「いいえ、それよ」


そう言って指をさしたのは俺に出されたお菓子だった

今日はいつもより甘いものが良かったのか、ショートケーキだ

…いや、これが飯?


虹「……これはおやつとかじゃねーの?」

貴「私の主食よ」

虹「主食…?これが?」

貴「ああ、話したことなかったかしら。私、お菓子じゃないと食べられないの」

虹「はい?」


お菓子じゃないと食べられないって?

飯が?


虹「アンタ、米とか食えねーの?」

貴「ええ」

虹「でもお菓子って小麦粉使うよな?パンは?」

貴「とびきり甘くないと食べられないわね」

虹「…うどんとか、麺類は?」

貴「食べられないわ」

虹「マジで?」

貴「ええ、マジよ」

虹「………ず、ずっとお菓子?」

貴「そう。いつからかは忘れたわね…多分ここに住み始めた頃からだったと思うけれど…。お菓子作りは好きだから、買わないで作ってるのよ」

虹「普通の飯食ったらどうなんの?」

貴「気持ちが悪くなって、吐いてしまうの」

虹「…それ、つらくねぇ……?」

貴「最初はつらかったわね。でも美味しいし、もうどうでも良くなってしまって」

虹「栄養とかってどうなってんの?」

貴「一応サプリで補ってはいるわ」

虹「サプリ……」

貴「私の身体は薬とサプリと砂糖で出来てるのよ」

虹「………なんかまずそう」

貴「あら、ふふっ、失礼ね」

虹「だってほぼ薬と砂糖だし」

貴「確かに美味しそうではないわねぇ」


………Aさんって、普通の飯食えねぇのか

それはそれで大変そうだな

原因は何なんだろう…

やっぱり、ストレス…とか?

…物凄く生きづらそうだな……

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時

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