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その日は結局、祥吾が泊まっていった
久しぶりにあの布団で祥吾が寝たけど、この前修造くんが使ったままなのよね
祥吾は聡いからすぐに気がついたようで、「この布団で誰か寝た？」なんて言われてしまった
寝てない、と言おうにも苦しい状況で私は素直に言うしかなかった
修造くんがこの前泊まったの、と
そしたら祥吾は「は⁈」と大声をあげて驚いた
灰「ね、姉ちゃん、なにっ、まさか虹村さんと」
貴「まさか、何かしら」
灰「つ…付き合ってる…とか…？」
貴「…付き合ってないわよ」
灰「…本当だな？信じて良い？」
貴「当たり前よ。貴方には嘘をつかないもの」
灰「そ、そうか…」
貴「この前、修造くんについ押されてしまって…一晩だけねって、泊めたの」
灰「何もされてねぇ？」
貴「むしろ何もしないでしょうに」
灰「いや、そうとは限らね…でも虹村さんだしな」
貴「とにかく、何もされていないから大丈夫よ。明日は学校へ行くの？」
灰「…………………多分行く」
貴「そう。じゃあ起こしてあげるから早く寝ましょう？」
灰「……姉ちゃんは、さ」
貴「なに？」
灰「中学の頃、将来の夢とかあった？」
貴「……中学の頃はそれなりにね。ほら、囲われる前だったでしょう？」
灰「そっか…」
貴「きっと私は社会に出て働いて、落ち着いた頃に結婚して子供を産んで、そのまま専業主婦になるんだって…思ってたわ。ありふれた幸せに触れたかったのかしらね」
灰「…今からでも遅くねーじゃん」
貴「遅くないかもしれないけど…今は今のままで良いの。これはこれで幸せだもの」
灰「………姉ちゃんってよくそんなこと言えるよな。俺なら絶対無理だしとっくに逃げ出してる」
貴「ふふ、貴方ならそうでしょうね。私は逃げ切れる自信がないのよ」
灰「あー…」
貴「今は貴方や修造くんが来てくれるから前ほど退屈じゃないわ。だからこのままで良いの」
灰「姉ちゃんはすげぇよな…」
貴「そんなことないわ。それより貴方は将来の夢、あるの？」
灰「…………ない。あった方が良いのかと思って姉ちゃんに聞いた」
貴「ああ、なるほど。別に無理しなくても良いと思うわよ」
灰「ふーん…」
貴「さあ、寝ましょう？」
灰「…おう」
電気を消してベッドへ入る
将来の夢………
叶うことはなかったわね
貴「おやすみ、祥吾」
灰「ん、おやすみ」
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作者名：碧夜叉 | 作成日時：2018年12月13日 6時
