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貴「ん…」


ぱち、と目を開けるといつもの天井が見えた

………………ああ……そっか…

またやってしまった………

ゆっくり身体を起こすと、ずきんと頭が痛んだ

……貧血ね

そういえば…祥吾は何処に……?

部屋を見渡しても何処にもいない

祥吾、と呼んでみても返答がないから二階にはいないのかしら

トン、トン、と階段を降りて一階に行く

一段一段降りる度に、甘い匂いが鼻腔を掠めた

キッチンを覗くと、祥吾が何か作っている


貴「…………祥吾…」

灰「…あれ?もう起きたのか?」

貴「まだ寝てから時間が経ってないの?」

灰「うん、1時間くらい」

貴「あら…そう…」

灰「もう一回寝るか?」

貴「…いいえ、寝ないわ」

灰「そう?」

貴「だって…いなくなるんだもの。起きてもいてくれるって言ったのに」

灰「あーー………えっと、悪かったよ。そんなに早く起きると思ってなかった」

貴「………ふふ、良いわよ別に。何をしていたの?」

灰「ん、姉ちゃん、飯食ってねぇだろ?だから作ろうと思って」

貴「本当?嬉しいわ」

灰「でもさ、材料が何処にあんのかわかんねーの」

貴「あら、何を探しているの?」

灰「ベーキングパウダー」

貴「それならこっち」

灰「ほんとだ。ないのかと思ってた」

貴「ないわけがないじゃない。いつも使ってるのに」

灰「だからおかしいなって思ってさ。切らしたのかと思って買いに行くところだった」

貴「あらまあ、危なかったわね。起きてよかった」

灰「ああ、良かった。姉ちゃん、具合は?」

貴「少し頭が痛いくらい。ごめんなさいね、また迷惑をかけて」

灰「…そういうの良いって。それに迷惑とか思ってねーし」

貴「……ありがとう」

灰「…腹、減ってる?」

貴「ええ」

灰「パンケーキ作ったけど、何かけたい?」

貴「ジャムが良いわ」

灰「あんの?」

貴「あるわよ」

灰「マジ?種類は?」

貴「いちごとブルーベリーと…あとはチョコレートとか」

灰「じゃあ俺、ブルーベリー」

貴「私もそれにするわ」


祥吾作ってくれたパンケーキを皿に乗せて、それにブルーベリージャムを乗せていく

パンケーキの余熱でトロトロと溶けて重力に従って落ちていった

…綺麗

この瞬間が私は好きだった


貴「いただきます」

灰「…召し上がれ」


口の中に入れると、ふわりと甘みが広がる

………美味しい

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時

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