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虹村視点
貴「だからもし行っても大丈夫なようになったら行きましょう?」
虹「…ん」
貴「……その時でも連れて行ってくれる?」
虹「あ…当たり前だろ!絶対連れてくから!」
貴「嬉しいわ、ありがとう。楽しみにしているわね」
そう言って花が咲いたように笑うAさんはとても綺麗だった
ああ……この人は…綺麗で、美しくて儚い…まるで雪のような人だ
花に少しだけ積もる、雪
朝になれば溶けて朝露となって花びらの上を滑り落ちる
その様まで全部綺麗なんだろうな、きっと
Aさんは、俺みたいな中学生のガキを虜にするには十分美しく、妖艶だ
虹「…ああ、楽しみにしてて。絶対、いつか連れ出すから」
貴「ふふ、分かったわ。待ってるわね」
虹「…ガキだからって甘く見てたら痛い目見るぞ」
貴「甘く見てないわ」
虹「…………どうせガキの戯言だとか思ってるだろ」
貴「あら、そんなことないわよ?」
虹「だってAさん、俺のこと子供扱いするじゃん」
貴「子供扱いは嫌いかしら。甘やかしてあげるのに」
虹「…………それは…それで、好きだけど!でもずっと子供扱いは…」
貴「じゃあ…そうね、もし貴方が大人になっても忘れていなかったら迎えに来て?」
虹「…大人っていつ」
貴「……18歳になったらかしら」
虹「20歳じゃねぇの?」
貴「2年なんて大差ないわよ。まあ貴方の思う方で良いけどね」
虹「じゃ、じゃあ、18になったら絶対迎えに来て連れ出すから、覚えとけよ!」
貴「覚えておくわ、約束ね」
虹「絶対、絶対忘れんなよ」
貴「もちろんよ」
Aさんはそう言って微笑んだ
自分が何でこんなに躍起になっているのか分からないけど、きっとそれはこの人のことが好きだからだ
………好きだから、仕方ない
だってこんなに綺麗な人なんだ
中学生が夢を見たって仕方ないだろ
貴「修造くんは来年で中学3年生だったかしら」
虹「ああ、まあ…」
貴「良いわねぇ、これから楽しいことがまだまだたくさんあるわよ。青春ね」
虹「…青春か……」
貴「もしかしたら恋人が出来るかも」
虹「いや、それは…ねぇよ、多分」
…Aさん以外には興味ねぇし
貴「あら、そうかしら」
虹「今はバスケに集中したいし」
貴「ああ、そうね。それもあるわよね」
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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時