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虹村視点

虹「でもさ、何で父親は親権が欲しかったんだよ?」

貴「私の父ね、資産家なのよ。だから後々、不倫相手との子供だって出てこられると面倒だと考えたんじゃないかしら」

虹「あ…なるほど」

貴「ね?…中学まではその家で暮らしていたけど、それからはずっとここよ。生活費は出すし必要なものは揃えてやるから近づくなって言われたわ」

虹「は?高校は?」

貴「通ったし卒業したけど、まあ…ほとんど行かなかったわね」

虹「いや、つーかさ、そもそも何でここに?」

貴「邪魔だったんでしょうね。死んでくれたらラッキー、ってとこかしら?だから、当てつけ」


ひどい話があったものだと思って聞いていたけど、この人は「バカバカしいでしょ」と笑った


貴「1人だし身体も弱いからいつか死ぬと思われてるのね。それで、この家の花がたくさん咲いている限り私は生きているって見せつけてるのよ」

虹「……なあ、もしアンタが死んで花が枯れてるのを見たら喜ぶと思うか?」

貴「ええ、喜ぶと思うわ。だから絶対に喜ばせてあげないの」


まるで悪戯をする子供のように笑うこの人は、いつもより少し幼く見えた

……こういう笑い方もすんだな


貴「ああ、そういえば家を出る時に母に「ストレス発散の道具にもならない」と言われたの。酷いわよね、散々いじめておいて」

虹「………むしろ一人暮らしで正解じゃねぇの?」

貴「私もそう思うわ。それにこうして虹村くんと仲良くなれたし」

虹「……アンタが倒れたからな」

貴「あの時、助けてくれてありがとうね」

虹「あれ、助けたっつーのか?」

貴「貴方がいなかったらあのまま夜中に目が覚めたかもしれないわ」

虹「………不法侵入だけど」

貴「家主が許してるから良いのよ」

虹「ふうん」

貴「…せっかく来てくれたのに暗い話でごめんね」

虹「いや、アンタのこと知れたから別に」

貴「そう言ってもらえると助かるわ」

虹「………俺さー、来年からはしっかりしようと思ってるんだけどアンタに敬語使った方がいい?」

貴「どうして?」

虹「歳上だから」

貴「ああ、そういうこと。別に良いわよ、私の前でまでしっかりしなくても」

虹「……じゃあこのままで良い?」

貴「あ、呼び方は変えて欲しいわ」

虹「呼び方?」

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時

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