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虹村視点
それからは、大分速水さんの家へ通った
最近は、初めて中に入った時と比べてすっかり寒くなって、日が暮れるのも早くなった
これでも一応、来月から新学期が始まるんだけどな
……後輩が出来るのか
それから、速水さん…の、弟も入学してくる
俺は慣れた手つきでインターホンを押した
少しして、あの人が出てくる
貴「虹村くん、いらっしゃい。うわっ、寒い!早く入って!」
虹「おう」
貴「……あら…あらあら、髪の毛、黒くしたの?」
虹「……ん。変?」
貴「いいえ!とてもよく似合ってるわ」
虹「まあ、本当はこっちが地毛の色なんだけどさ」
貴「じゃあ今までは染めてたのね?でもどっちの虹村くんも素敵よ」
虹「…ありがと」
貴「さあ、ここは寒いから早く上へ行きましょうか」
虹「ああ」
速水さんについていって、階段を登る
いつもの部屋に入って、いつもの位置に座る
ココアが2つと、今日はシフォンケーキだ
貴「どうして黒髪に?」
虹「来年から2年で後輩できて示しつけねぇとだし、あとはまあ…単に怖がられるから」
貴「確かに私も最初は怖かったわ」
虹「だよなぁ…あー、あとさ、喧嘩とかもやめようと思って」
貴「ケガをしなくなるなら良いわね。授業にはちゃんと出るの?」
虹「…まあ、一応」
貴「偉いわね!一時期ずっとここに来てサボっていたのに」
虹「だってここ、居心地良いし」
貴「そう言ってもらえると私も嬉しいわ」
虹「……そういや、冬も花って咲くんだな」
貴「そういう種類の花なの。綺麗でしょう?」
虹「ああ。花とか育てるのって楽しいのか?」
貴「……楽しいけれど、私は純粋に楽しんで育てているんじゃないの」
虹「趣味じゃねーってこと?」
貴「当てつけのようなものってこと」
虹「誰に?」
貴「私の父親よ。花がたくさん咲いているっていうことは私はまだ生きているってことだからね、って」
虹「父親と仲悪いのか?」
貴「ええ、まあ。私は不倫相手との子供で、弟2人は正妻の子供なの」
虹「うわ…」
貴「私の母は父に親権を取られて捨てられたわ。私は父と血の繋がりのない女と暮らすことになってね、それから弟たちが産まれたの」
虹「……気まずくね?その中で暮らすの」
貴「とっても気まずかったわ。父も味方ではなかったし。母には目の敵にされて…あと身体も弱いから薬代とか、余計にかかるの」
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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年12月13日 6時