3話 ページ4
「おい、おーい、大丈夫あるか!」
誰かの声がして、私はハッとした。
「うん…?」
微かな声しか出なかった。
「あ、気付いたあるか。大丈夫あるか?」
目を開けると、誰かが私の顔を覗き込んでいた。
目が慣れるに従い、その人物をはっきり捉えることができた。
長い黒髪を一つに縛った、美人な人だった。
若干ツリ目だけど綺麗な人だ。
「起きれるあるか?」
「あ、はい…」
私はゆっくりと体を起こす。どうやら土の上に寝ていた…ようだ。
特に痛みはない。
でもなんでこんなところに?てかこの人誰?
「我中国ある。お前名前なんていうあるか?」
え?中国?中国って国でしょ?
この人何言ってるんだ…?
私はポカンとしてその人を見つめた。
「あ…私は一条Aです。それで、中国って国でしょ…?」
「お前もしかして我たち国の存在を知らないやつあるか。」
「は?いや、中国って国は知ってます…」
地理嫌いだけどそれくらいは流石に知ってる。
というか常識中の常識でしょ…?
「いや…やっぱり知らないあるね…」
…というかこの人、話し方変…というか不思議。
なんだ、「ある」って?
「この世界には、国の化身がいるあるね。お前、名前からして日本人あるね?」
とっさに聞かれて頷く。
「我中国だけじゃなくて、日本とか、韓国とか…他にもあらゆる国の化身がいるある。」
「は…?」
…理解不能だ。
「まあ、平たく言えば国が人になってるある。」
「…つまり、話を整理すると、あなたは中国って国の化身…ってことですか?」
「そうある!飲み込み早くていいあるね。さすが日本の国民ある」
なんか褒められた…まぁいっか。
「でも、私、今までそんな話聞いたことありませんでした。国の化身がいるなんて」
「そうあるか!?我たちかなり有名あるよ。テレビでも世界会議の様子が映るあるし…」
「は?え?」
セカイカイギ?なんだそりゃ。
「私ニュースとか見るの嫌いですけど、そんなの聞いたことも見たこともありません。断じて」
この人、頭大丈夫かな…?
「…それはそうと、なぜお前こんなところにいたあるか?」
「え?えーっと…」
29人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ