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大会。そう、夏の大会だ。そこで結果を出せば、皆に注目されるのではないかと私たちは考えた。そこそこ大きな大会で、テレビにもうつされるそうだ。気合いいっぱいの状態で、私たちは練習に励む。
…だが、そこから先は、苦労と努力の連続だった。私の宣言を聞き、先生はいつもより厳しく練習させる。その度、上達しているのがわかると嬉しいものである。…が、それに体力は追いつかなかった。
♪〜♪♪〜〜♪〜〜〜♪
たった五人。たった五人ではあるが、その2倍はいるであろう音量を出す。少し前までは高い音も出なかった私だが、今ではすんなりと出る様になった。それは他の部員達も一緒。皆、どこかどこかで成長しているのだ。
「……そこの音違います」
不意に、先生が私と目を合わせたかと思うとピシャリと指摘をした。「はい!」と短く返事をすると、この暑さの中、必死に楽譜にメモする。
_____その時だった。
ばたんっ、と何かが倒れる音。急いで振り向くと、顔を真っ青にして後ろに倒れこむ千尋が。「千尋!」とシャウトしながら駆け寄る。皆千尋の周りに集まり、心配の言葉を投げかけた。
…心配の言葉を投げかけた。…投げかけることしか、出来なかった。
結局そのあと、先生により千尋は保健室に運ばれ、軽傷ですんだ。念のため部活を早退させられ、残った私たちで演奏を続けた。
…努力や苦労に体が追いつかない。どれほどやる気があっても体力はない。そして、実力もない。
…こんな自分に、なんだか嫌気が指していた。
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作者名:秋乃。-Akino-
作成日時:2018年6月29日 19時